鬼平犯科帳 第7シリーズ #01 麻布ねずみ坂

第7シリーズ #01 麻布ねずみ坂

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 鬼平は役宅で指圧師中村宗仙の治療を受けていた。宗仙は患者から50両100両という治療代を取ると評判の指圧師だった。彦十とおまさは宗仙が麻布ねずみ坂の家に戻るのを見て、その質素な暮らしぶりからいくら金を隠し持っているのかと話していた。役宅で同心たちも同様な会話をし、沢田が宗仙の金の使い道を訝しがっていた。

 宗仙は家で浪人に金を渡し、500両の貸付書を受け取る。沢田は宗仙の家を見に来ており、その浪人のあとをつける。浪人は深川の家に帰ったため、彦十にあとを任せて役宅に報告に戻っていた。浪人が出かけたため、彦十とおまさがあとをつけると浪人は香具師の元締め羽沢の嘉兵衛が営む料亭井筒屋に入っていった。報告を聞いた鬼平は沢田に浪人と嘉兵衛のつながりを調べさせる。

 おまさが昔の仲間に浪人のことを尋ね、浪人は石島精之進、大阪の香具師の元締め白子の菊右衛門の使いで江戸に出向いていることがわかる。宗仙と菊右衛門がつながりがあることがわかり、鬼平は石島と宗仙を見張るよう命じる。

 石島が宗仙を訪ね、女が大阪を出て江戸に向かったと知らせる。それを聞いた宗仙はお八重が江戸に参りますかと微笑む。石島は宗仙に金を借り、宗仙の家を後にする。沢田と彦十があとをつける。

 役宅で宗仙の指圧を受けていた鬼平は、宗仙の顔つきが違うことを見抜き声をかける。宗仙は上方の女から良い知らせが、と答え、さっと帰って行く。沢田が、石島が江戸を出て、中山道に向かったと鬼平に報告に来る。

 石島を追った彦十たちは、高崎で彼が自身の名前のついた道場に入って行くのを目撃する。沢田は鬼平に報告するため江戸へ。石島はこの1年で道場を構え、金回りも良く、妾まで囲っているとのことだった。そこへ宗仙が治療のためにやって来る。

 宗仙の顔色が優れないのを見た鬼平は事情を聞く。先日言っていた上方から何も連絡がないと答える宗仙だったが、会話の中で、元締めが約束を破るはずがない、と漏らしてしまう。

 宗仙の家を見張っていた沢田たちは、浪人たちが家に押し入るのを目撃する。沢田たちが家に入り、宗仙に斬りかかっていた浪人を倒し、小者を捕らえる。小者庄吉を役宅に連れて来て調べると、宗仙と菊右衛門との関わりが判明する。宗仙は昔菊右衛門の女お八重に手を出し、500両でお八重を買うと約束、高い治療代はそのためだった。宗仙は石島に金を払ったが、石島が金を懐に入れ、宗仙は金を返すつもりはないと大阪に連絡したため、庄吉たちが大阪からやってきた、ということだった。

 鬼平は全てを聞き、庄吉を大阪へ帰らせ菊右衛門には全ての事情を聞かせることにする。鬼平は最後に庄吉にお八重の生死を尋ねるが、庄吉は答えなかった。

 菊右衛門は500両を宗仙に返してきた。鬼平はおまさに高崎に行かせ、石島の耳に宗仙に菊右衛門が500両を返してきた、と吹き込むように命じる。彦十も高崎に生きたがらうが、高崎が遠いことを気にした鬼平が気を使ったのだった。

 高崎に着いたおまさは石島の道場を訪ね、小間物売りを装い、石島に500両の話をする。話を聞いた石島は旅の準備をする。500両のことを聞き、自分が金をくすねたことがバレたと気づき、菊右衛門が自分を殺しに来ると踏んだのだった。一緒に行きたがる妾を殺し石島は江戸に向かう。その知らせを聞いた鬼平は、宗仙宅で石島を待ち、斬り倒す。

 

 こちらが本当の第7シリーズ開幕話。芦屋雁之助をゲストに迎え、なかなか凝った話になっている。

 人の良さそうな指圧師が鬼平の治療に訪れるが、治療代が高いという噂がある。そのうちにその指圧師が大阪の香具師の元締めと何らかの関係がありそうだと判明、盗賊改方の調べが始まる…

 治療代が高い謎、人の良さそうな指圧師と元締めとの関係の謎。これらがドラマ後半で一気に解明されて行くのは気持ちの良い展開と言えるが、そこは鬼平シリーズ、悲しい結末が待っている。

 シリーズ開幕話にしてはいつもの開幕話のような派手さはない。しかしこれまで鬼平の右腕となり活躍してきた与力佐嶋役の高橋悦史さんが亡くなり、仕方がなかったのだろうと思う。そんな視点で観ると、最後の指圧師が遺骨のない墓を立てたことに関して彦十が鬼平に尋ね、それに鬼平が答える場面にも納得がいく。また、最後におまさが高崎へ出向くが、それに一緒に行かせない鬼平に彦十が反論する場面でも、鬼平が彦十に、体を労ってくれ、と話す場面もある意味泣けてくるものがある。

 これまでのレギュラー陣の一部を失い、どうなっていくのか。楽しみな第7シリーズではある。