鬼平犯科帳 第7シリーズ #02 男のまごころ

第7シリーズ #02 男のまごころ

https://www.fujitv.co.jp/onihei/photo/s7-2.jpg

 盗賊改方の同心田中は職務には忠実だが実績は同僚に比べると芳しくはなかった。忠吾に役宅でからかわれ怒り出す始末だった。

 その田中が鬼平の留守中に火付の下手人を捕まえた。男は菓子屋柏屋の下働きの亀吉、捕まえたのは田中が使っている密偵源助だった。田中が亀吉を問いただすと亀吉は自分がやったと答える。

 鬼平は出張中だったが、亀吉は3日後に火あぶりの刑になることが決まっていた。鬼平は役宅に戻り、亀吉の件の報告を受ける。その夜鬼平のところに忠吾が来て、粂八が妙な噂を聞き込んで来たと話す。亀吉はドジで有名なこと、火事場泥棒をした8両を落としてしまったということだった。

 翌日鬼平は火事現場で晒し者になっている亀吉の様子を見に行く。

 粂八は亀吉のこれまでの生活について調べ鬼平に報告する。やはり周りで亀吉のことを悪く言う人間はいなかった。鬼平は与力小林に月当番の南町奉行所へ刑の執行を待って欲しいと頼みに行く。南町奉行は文句を言うが、鬼平の父に世話になったことから執行は猶予する。しかしもし見込違いであれば鬼平の立場がないと忠告する。

 田中は鬼平のところに自分が捕まえた亀吉の処刑が延期されたことの理由を聞きにやって来る。鬼平は間違いは取り返しがつくが、人の命は取り返しがつかない、それが恐ろしいのだと諭す。

 田中は密偵源助と話す。源助は事件当夜亀吉の姿を見た者を探すことにする。

 鬼平は忠吾を連れ、火付のあった柏屋へ行き、従業員から話を聞く。確かに火事が発覚した際に亀吉は自分の部屋にいなかったことがわかるが、従業員たちは皆亀吉はそんなことができる人間ではないと訴える。そこへ病気で寝込んでいた店の内儀がやって来て、亀吉の母からの手紙を鬼平に見せ、亀吉のことをかばう。

 鬼平と忠吾は蕎麦屋に入る。鬼平は亀吉が犯人だとして盗んだ8両の金を何に使うつもりだったのか、と疑問に思う。忠吾はそれは田中の調書に書いてあるのでは、と言うが、鬼平は調書にそのことが書いてないことを知っていた。そこに源助が聞き込みにやって来る。鬼平は源助を呼ぶように忠吾に言う。

 鬼平は源助から亀吉を捕まえた経緯を聞く。鬼平は源助が確信ないままに亀吉を犯人扱いしたことを見抜く。源助は田中に会い、あなたのためにやったことだ、あとはよろしく頼みますよと話し去って行く。

 鬼平は牢にいた亀吉を呼び出し、もし亀吉が犯人なら柏屋の皆にも迷惑がかかると言うことを噛んで含めるように言い聞かす。すると亀吉は自分は火付をやっていないと白状する。

 田中は事件当夜亀吉を現場近くで見かけた人間を見つけ出し、役宅に連れて来る。しかし鬼平は亀吉が毎晩火事場側のお不動様に、店の内儀の病気が治るようにお参りしていたと話す。取調べの際にも亀吉がそのことを話しそうではないかと田中を叱責する。

 鬼平は亀吉は本当の犯人を見ているはずだが、名前を言わない、その男が現れるまで辛抱強く待とうと与力小林に話す。翌日から鬼平は晒し者になっている亀吉の様子を見張る。そしてある日亀吉が見物客の中の一人を見つめていることに気づき、その男を捕まえる。

 鬼平はその男安兵衛と話をする。安兵衛は亀吉が母親と知り合いで時々親子共々面倒を見ていたと話す。鬼平は亀吉の母の手紙を安兵衛に見せ、本当は安兵衛が火付の犯人なのだろうと問いただす。

 安兵衛は処刑され、源助は島流し、田中もお役御免となる。鬼平も処分を受けることになったが、叱責で済んだ。鬼平は役宅へ帰ると同心たちに話し安心させるが、同じ過ちがあれば自分が腹を切ると話す。

 

 鬼平シリーズで何度かあったゲスト同心が登場する回。パターン通りにこの話だけの登場で、ストーリー上も最後には同心を解雇となる。今回の同心田中は過去のゲスト同心たちとは違い、悪に手を貸すようなことはしないが、無実の人間を処刑しようとするので、仕方なしだろう。

 話としては完全に人情話か。知恵遅れのような亀吉を小倉久寛さんが好演している。最初は事情もわからず相手の話に同意する知恵遅れだと思っていたが、亀吉が自白したのには裏があった、というオチがつく。

 田中の密偵源助を若い大杉漣さんが演じている。ソナチネで少しは名が売れたあとか。また春やすこさんも鬼平2度目の登場か。懐かしい顔。

 そういえばこの話では一切チャンバラや斬り合いのシーンはない。第1話では最終盤で鬼平が悪者を斬るシーンがあったが。第7シリーズ今後はどうなるのか。