愛情物語

●307 愛情物語 1965

 エディはニューヨークのセントラルパークカジノの楽団のライスマンを訪ねる。以前彼のピアノ演奏を見たライスマンが誘ってくれたため、楽団に雇ってもらうつもりだったが、あっさりと断られる。しかし店にいたマージョリーの計らいで楽団に採用されることに。最初は控えのピアニストだったが、だんだんと彼も認められてくる。

 エディはお礼のためマージョリーの家を訪ねる。彼はマージョリーにピアニストとして大金持ちになる夢を話す。エディは正式に楽団に採用される。そして彼のピアノは人気を得ていく。彼はある時パーティに招待される。喜んで出かけていくが、招待主は彼にピアノを弾いてくれと頼む。客としてではなくピアニストとして招待されたことに落ち込むが、マージョリーが彼を励ます。2人はその後デートを重ねる。彼のピアノはさらに有名になる。

 エディは両親を店に呼び、両親の前でマージョリーにプロポーズをする。2人は結婚し、新居を構える。新婚初夜嵐となるが、マージョリーは風の音を恐れる。

 エディは彼の名のついた楽団を率いることになる。

 クリスマス、マージョリーは子供ピーターを産むが、それが原因で死んでしまう。

 エディはピーターを置いて南米ツアーに出かける。マネジャーのルーもそれでエディが元気になると考えてのことだった。その後もエディはピーターに合わないまま5年がすぎる。ルーはピーターに会うようにエディを説得する。

 エディはピーターに会いに行くが、2人ともぎこちない再会となる。その後エディは徴兵され戦場へ行く。彼は戦場でも活躍したが、有名ピアニストの彼に来る慰問の依頼を受けなかった。戦場で演奏したくない、というのが理由だった。

 ある時戦地の廃墟でピアノを見つけたエディは演奏を始める。すると現地の少年が近づいて来る。彼はガムをあげ、一緒にピアノを演奏する。周りにいた人たちが演奏に聞き入る。エディは考えを変える。ピーターに話し合いたいという手紙を書こうとしていたが、その時に終戦の知らせを受ける。

 エディは国に帰り、新しい楽団の契約も済ませ、ピーターに会いに行く。そこにはチキータがおり、ピーターの面倒を見ていた。ピーターはエディの前でピアノを演奏してみせる。エディはピーターがチキータとばかり時間を過ごすのを快く思えなかった。そしてチキータと衝突するが、チキータがピーターのことを思っていることに気づいたエディはチキータに教えを乞う。

 エディはピーターとチキータを仕事場に連れて来る。休憩時間にピーターが友人たちと楽器で演奏を始める。楽団員もそれに加わり演奏する。

 エディは店にピーターたちを客として呼び演奏をするが、その途中に左手の痛みを覚え、演奏を代わってもらう。その夜、ピーターは嵐を怖がり、エディのベッドに入って来る。翌日ピーターはルーとともに医者に行く。家に戻ったエディはチキータに難病に侵され寿命が1年だと告げる。チキータはエディに愛の告白をし、エディも受け入れる。2人は結婚する。チキータはピーターに本当のことを話すべきだと語り、エディも受け入れる。エディはピーターと公園に行き、自分がもうじき死ぬことを告げる。2人は家に帰り、ピアノの連弾をする。

 

 昔からタイトルだけは知っていたが、今回が初見。最初の30分ほどを観た時に、どれだけ幸せな主人公の映画なんだ、と思って観ていたが、映画が後半に差し掛かると話が急展開を見せる。

 後半は、妻を失ったエディが息子との愛情を取り戻して行く話なんだ、と気がついた時に、今度はエディ自身に不幸が襲って来る。そして映画冒頭原題が「The Eddy Duchin Story」だが、邦題が「愛情物語」の理由はここにあったのかと気づく。

 エディやピーターの演奏シーンが何度も映し出され、タイロンパワーや子役は本当にピアノが弾けるんだと感心したが、ネットで色々調べるとそうではなく吹き替えらしい。それにしても「その感じ」で見えるのはスゴい。

 他にもピアノ越しの映像が何度か使われるなど、音楽に特化した映画のように思えるが、映像も凝った部分がある。実話を基にしている割には、脚本もよくできている。

 やはりこの時代の名作と言われる映画は間違いがない。