居眠り磐音江戸双紙 帰着準備号 橋の上 佐伯泰英

●居眠り磐音江戸双紙 帰着準備号 橋の上 佐伯泰英

 磐音シリーズの特別編。以前同じようなものとして「読本」があったが、内容的にはシリーズがさらに進んだ後のもののため、それに合わせたものとなっている。

 巻頭カラー口絵、青春編「橋の上」、江戸案内〜季節ごと、著者佐伯泰英氏インタビュー、年表など。

 今回も小説 青春編「橋の上」が掲載されているので記録として残す。

 「橋の上」は、シリーズの前の話。磐音が初めて江戸に出てきた時の話。父の知り合い稲生を訪ねたり、佐々木道場に通い始めたり。途中、両国橋の上で助けた少女が巻き込まれた事件を解決する、という展開に。

 前の「読本」に掲載された「跡継ぎ」が、シリーズ直前の由蔵とおこんの会話とリンクしたまさにタイムリーな話だったのに対し、今回の「橋の上」は、シリーズ上江戸から3年近く離れている磐音が、初めて江戸に来た時の話で、もちろんいつもの通り人助けのために大活躍する話。さらに、磐音と絡むわけではないが、若い奈緒も何度か登場し、これまでほとんど出番のなかった奈緒が普通に会話しているのが嬉しい(笑

 小説終盤、玲圓非常に厳しい稽古をつけられ失神する磐音が描かれる。玲圓が厳しい稽古をした理由は前述した人助けをしている場合か、ということのようだが、このシリーズでこの後磐音が何度人助けをしたことか(笑 まぁしょうがないか。

 佐伯泰英さんのインタビューもあるが、今回はシリーズについての言及は特になかった。しかし佐伯さんが磐音シリーズを60歳の時に書き始めた、というのを知り驚いた。この時点で、現実の10年で、小説にも10年が経過している、というのもスゴいし。

 シリーズは残り3分の1程度。いよいよ磐音も江戸に帰って来るし。楽しみ。