居眠り磐音

●314 居眠り磐音 2019

 居眠り磐音シリーズの映画化。

 ストーリーはシリーズ冒頭の磐音が藩を脱藩することになる慎之輔、琴平、舞に起こる悲劇で30分。半年後、磐音が江戸で暮らし始め、金兵衛の紹介で今津屋に挨拶に行った際に二朱銀の両替に来た浪人と立ち会い今津屋に用心棒として雇われるまでで30分。二朱銀に絡む阿波屋有楽斎との戦いで40分。道場で奈緒からの手紙をもらい磐音が花魁となった奈緒を見に行きラストまで20分。

 小説の方が残り3冊となり、終わりが見えて来たので昨年映画化された物を鑑賞した。NHKでドラマ化されたものは全く見ていないので映像化は初めて観た。小説の映像化は愛読者にとって常に問題となるが、この映画は「まぁ良いんじゃないの」と思える。磐音、おこんなど登場人物の配役についても無難だったように思うし、映画とするためにストーリーが若干原作と異なる(奈緒がおいらんとなるまでその行方を磐音が一切知らない、など=映画)場面もあるが、そもそも51冊も続く小説の冒頭を映画化することに挑戦したことを讃えたい(笑

 ただこの映画をきっかけにして原作を読み始めた方がいたとしたら、色々と面食らうだろうなぁとは思う。奈緒に涙した磐音がどんどんおこんと仲良くなっていくし、しばらくの間は磐音は長屋住まいの浪人だからなぁ。この映画で結果的にその政策を磐音が助けたことになる田沼意次に至っては、最終的に一番の敵になるし(笑

 小説の中では何度も触れられる磐音が脱藩することになった明和9年の騒動では琴平役の柄本祐が良かった。この騒動で亡くなる3人は小説では第1巻でしか登場しないため存在感があまり感じられないが、琴平だけはこの映画では抜群の存在感を示したのではないか。

 一度映像化されたものを観てしまうとこの後のエピソードも映像で観てみたいと感じるが、何しろ51冊分あるから、絶対無理だろうなぁ(笑