旅立ノ朝 居眠り磐音江戸双紙 佐伯泰英

●旅立ノ朝 居眠り磐音江戸双紙 佐伯泰英

 磐音シリーズ第51作。季節は1795年夏。磐音一家豊後関前藩へ、亡き3人の友の墓参り、奈緒の家での戦い、関前藩総登城と伊鶴儀失脚、正睦死去と空也の旅立ち。

 いよいよシリーズ最終巻。舞台は1冊を通して江戸を離れ、豊後関前藩となる。

 前作までにも噂として出ていた関前藩での最後の改革。中老伊鶴儀の不正を暴き、正睦が国家老を引退、中居半蔵が後任となる。そして正睦の死去。空也の旅立ち。

 

 長いシリーズが完結。ここ数作で同じことを何度も書くが、やはり田沼意知死去〜意次失脚、死去の後は、シリーズが間延びしたように感じてしまう。前にも書いたが、関前藩は何回同じ過ちを繰り返せば良いのか(笑 そしてその度に何度磐音が助けなくてはいけないのか(笑 佐伯さんもいつかのあとがきでその通り書いていたが〜人は同じ過ちを繰り返す〜それにしてもなぁ。何か無理やり磐音の敵を登場させ続けた感も否めないし。

 またラスト3冊(49作「意次の妄」〜本作)で小説内の時間が一気に10年ほど経過したこともあり、それまでが4、5冊で1年の経過だったことを考えると、その話の流れの速さにどうしても違和感を感じてしまう。磐音シリーズ51巻は完結したが、この後に空也シリーズがあることを知ってしまっているので、この違和感はどうしても空也シリーズにつなげるための無理筋だったのでは?と思ってしまう。

 それでも約4ヶ月ほど51冊の長いシリーズを楽しませてもらった。映画も観たし。できればNHKのドラマも観たいものだが。空也シリーズも読んでみたいが、もう一度磐音シリーズを最初から読んでみたい気もする。