ユリシーズ

●320 ユリシーズ 1954

 ユリシーズトロイの木馬でトロイを陥落させたイタカの王。女預言者カサンドラは呪いを彼にかける。

 彼の妻ペネロペは彼の帰りを何年も待っていたがユリシーズは帰って来ず、彼女とその財産を狙って多くの求婚者が彼女の屋敷を訪れていた。しかしペネロペは彼らを上手く騙し求婚を断り続けていた。

 ユリシーズは海岸で倒れているところを王の娘ナウシカアに発見され、宮殿に迎え入れられる。しかし彼は記憶を失っていた。王が開いたユリシーズの歓迎のレスリングで彼はチャンピオンに挑み、見事に勝つ。ナウシカアとユリシーズは恋に落ちる。

 ペネロペの家にアンティノオスがやってくる。彼はペネロペに強く求婚したため、彼女はアポロンの競技会で夫を選ぶと答えてしまう。

 ユリシーズは海岸に行き、記憶を取り戻していた。

 彼の船はポセイドンの怒りにあい、嵐に襲われる。船は見知らぬ島に着き、そこで食料を調達するが、ポセイドンの息子一つ目巨人のポリュペモスに襲われる。ユリシーズたちはワインを作りポリュペモスに飲ませ酔って寝た隙に一つ目を刺し逃亡する。

 次に船はセイレンの岩場に差し掛かる。皆にセイレンの声が聞こえないように耳を防ぐように言い、ユリシーズ自身は柱に縛られセイレンの声を聞く。それは国に残してきた妻や息子の声で彼は騙されるが、なんとか岩場から逃れる。

 次に船は風があるのに進めなくなり、島に引き寄せられる。ユリシーズは島に上陸、そこで魔女キルケと出会う。ユリシーズはキルケが妻にそっくりなため惹かれてしまう。彼は島から出発しようとするが、キルケの魅力に負け島に居続けてしまう。仲間たちは彼を置いて出発しようとするが、遭難してしまう。それを知ったユリシーズも島を出ようとするが、キルケは永遠の命をユリシーズに授けることで引き留めようとする。しかし彼は命があるからこそ人間だと反論する。キルケは死んだユリシーズの仲間たちを登場させ引き留めようとするが、その中にユリシーズの母親が現れ国に帰るように彼に告げる。彼は島から出発し、海岸でナウシカアに助けられたのだった。

 記憶を取り戻したユリシーズは王にイタカへ帰るために船を容姿して欲しいと頼む。

 ペネロペの夫を決める競技会が明日に迫っていた。ユリシーズは乞食に化けペネロペと話し競技会についてヒントを与える。翌日ペネロペは求婚者たちにユリシーズの弓で的をとらえたものを夫とすると宣言、求婚者たちが挑戦するが誰も弓を引けなかった。乞食の格好をしたユリシーズは見事に弓を引き的を捉える。そして求婚者たちを次々を倒していく。そして最後にペネロペの元へ歩み寄る。

 

 ギリシャ神話の映画化。本当はすごく長い話なんだろうが、1時間40分ほどにまとめられているため超コンパクトにまとめているんだろうと思う。主なエピソードは、「ナウシカアとの出会い」「一つ目巨人との戦い」「魔女の島」「妻への求婚者との決着」の4つぐらいか。巨人との戦いに時間もかけており、この時代にしては頑張って映像化している感じがする。ぶどうを踏みしめただけでワインになることは目をつぶろう(笑

 いつだったか宮崎駿のエピソードで、風の谷のナウシカの「ナウシカ」はギリシャ神話のエピソードに感動しその名前を取った、と読んだ記憶がある。男を助け、男が旅立った後も彼を思い暮らしていく、みたいな部分に惹かれた、と言っていた記憶があるんだけど、この映画でちょっとだけわかったような気がする。

 神話の映画化という割には、神がかり的なシーンもあまり無理なく観ることができたし、時間も100分とコンパクトで、なかなか上手くまとまった1本になっていると思う。