天国は待ってくれる

●321 天国は待ってくれる 1943

 ヘンリーは亡くなり審判の世界へやってくる。そこで閣下にこれまでの人生について話すように言われ、語り始める。

 ヘンリーは親バカな両親祖父母に育てられた。成長した彼の家にフランス人メイドがやってくる。フランス語を習っていたヘンリーは彼女と親しくなる。そして女友達にキスをしたこと、彼女と結婚しなくてはいけないことを話すが、彼女は一笑に伏す。その後も彼女はヘンリーに色々なことを教えてくれた。

 ヘンリー15歳の誕生日、ヘンリーはフランス人メイドと家を抜け出て酒を飲みに行く。そして調子を悪くしたため、メイドはクビになってしまう。

 ヘンリー26歳の誕生日、彼は外泊をして家族を心配させる。彼は立派な遊び人になっていた。家に戻って来たヘンリーは母親に街で見た女性に惚れたと告白する。その夜彼の誕生日パーティーが開かれ、ヘンリーの従兄弟が婚約者マーサを連れてやってくる。マーサは前日ヘンリーが街で見かけ口説こうとして失敗した女性だった。マーサが本屋で「結婚相手を幸せにする方法」という本を買おうとしているのをネタに口説いたのだった。パーティーの途中、アリアを披露する女性がいたが、くしゃみが出るマーサは邪魔をしないように別室にこもる。そこにヘンリーがいてマーサを口説く。二人は家を飛び出し、結婚してしまう。マーサの両親は激怒する。

 ヘンリー36歳の誕生日、結婚10面目の記念日、朝食をとるヘンリーの元に電報が届く。それはマーサが家を出たという知らせだった。

 マーサは10年ぶりに実家に戻っていた。両親はまだ怒っていたが、母親がマーサを家に招き入れる。そこにはマーサの結婚相手だったヘンリーの従兄弟も一緒だった。マーサの実家をヘンリーは訪ねる。そしてマーサと話をする。マーサはヘンリーが別の女性にプレゼントをしていたことを知り、離婚しようと思い立ったのだった。それを知ったヘンリーは謝罪しマーサを強引に家に連れて帰る。

 ヘンリーは50歳になっていた。彼は夫婦で見に行ったショーで見た踊り子に一目惚れする。そして彼女の家に行き、口説こうとするが、彼女はヘンリーの息子と付き合っていたことを知らされ、お金で息子と別れるように言い渡す。家に帰ったヘンリーはマーサにそのことを告げるが、マーサは息子が踊り子に夢中になっていることを既に知っていた。その時息子が家に帰ってくる。息子は踊り子とはもう別れたと告げるが、別の踊り子に夢中になっていると話し、ヘンリーを驚かせる。

 ヘンリーとマーサは結婚25周年を迎え、パーティを開く。その途中マーサが部屋で休んでいるのをヘンリーは見かける。話してみるとマーサは最近調子が悪く医者に通っていることが判明する。心配するヘンリーだったが、マーサはその後亡くなってしまう。

 ヘンリーは60歳に。息子が記念のパーティを開く。60歳になっても夜遊びをやめない父親を息子は心配する。ヘンリーは若い女性を本の朗読係として家に雇い入れようと提案する。しかし話の最中に本棚からマーサと出会うきっかけになった本「結婚相手を幸せにする方法」を見つけ、マーサのことを思い出す。

 ヘンリーは70歳に。病気になり家にも看護婦を置く状態になる。ヘンリーは良い夢を見ていたところを検温しようとした看護婦に起こされ不機嫌になるが、その日夜勤で出て来た若くて美人の看護婦を目の前にし、熱を上げそのまま亡くなってしまう。

 全てを閣下に話終えたヘンリーは閣下に審判を求める。閣下は地獄行きはない、天国の別館に空きがあるのでそこに行くように勧め、そこには待ってくれている人がいると話す。

 

 古典と言える時代の作品だが面白かった。主人公がなくなり最後の審判を受けるところから映画がスタート、その後赤ちゃんから70歳で亡くなるまでが語られる。

 簡単に言えばプレーボーイだった主人公が、結婚しても、妻を亡くしても、若い女性からもうオジサンだと言われても、最期の最後まで若い女性に夢中になる、という「男の性」をユーモラスに描いている。

 しかしただそれだけではなく、プレーボーイだった主人公が妻に嫉妬したり、それを妻が喜んだり、と仲の良い夫婦の25年を描いている、とも言える。

 1943年と言えば既に第二次世界大戦の真っ只中なのに、古典とは言え、こんなに平和で幸せな映画が作られていたとは本当に驚き。久しぶりに心暖かくなる古典の一本でした。

 

天国は待ってくれる [DVD]

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  • 発売日: 2006/03/10
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