鬼平犯科帳 第7シリーズ #07 五月雨坊主

第7シリーズ #07 五月雨坊主

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 伊三次がまだ生きていた時の事件。伊三次が馴染みの遊女およねと店で遊んだ帰り道、絵師竹仙の家を通りかかる。その時竹仙は半死状態の男を家に引き入れようとしていた。

 伊三次は竹仙を役宅に連れて来て鬼平に引きあわせる。竹仙は男が半死状態ながら死に際に「長五郎にやられた」「九兵衛どん、10日のお務めはだめだ」と言い残したと話す。竹仙は男の人相書きを鬼平に渡す。

 鬼平は竹仙が密偵となった熊治郎の事件の帳簿を探すが、忠吾が持ち出していた。

 人相書きが密偵たちに配られ、男のことを調べるが何もわからなかった。

 鬼平は再度竹仙を呼び出す。人相書きから男の手がかりが掴めないため、男が竹仙を九兵衛という仲間と間違えたと判断し、竹仙自身の人相書きを描かせるためだった。新たな人相書きも配布される。番屋にいた番太から殺された男を知っているという情報が入る。菓子屋「万屋」で働く長五郎という男と殺された男が知り合いだったという証言だった。盗賊改方は早速万屋を見張り始める。

 10日の前日、万屋に剣術使いが客として訪れる。盗賊改方の見張りは続くが、10日には何も起きなかった。

 忠吾は引き続き万屋の長五郎を見張る。ある時、女が万屋の店先に現れ、長五郎はその女について行く。女は長五郎に金をせびるが、長五郎は女を殺そうとする。慌てて忠吾が女を助けに入るが、長五郎を逃してしまう。

 牢に捕らえていた女に鬼平が会う。女は長五郎の妻お栄だった。お栄に人相書きを見せると全てを告白する。殺された男は半七、引き込み役として万屋に入った長五郎に代わり、お栄に金を渡しに来る役目だったが、いつしかお栄は半七とデキてしまう。お栄は今度のお務めが終わったら長五郎と別れて半七と一緒になるつもりだったが、半七がそのことを長五郎に話してしまい、殺されたのだと話す。

 伊三次はおよねと一緒にいた。およねが人相書きが店の客である天徳寺の善逹とよく似ていると言い出す。伊三次が天徳寺に行くと、人相書きによく似た男が仲間4人と箱を地面に埋めているのを目撃する。その報告を聞いた鬼平は、竹仙が自分とそっくりの男とその辺りで会ったことがある、と言ったことを思い出す。

 鬼平は忠吾を呼び出し、頭を坊主にし、坊主として天徳寺に行かせる。そこに久兵衛一味がいて捕物とな理、鬼平久兵衛を倒す。寺の善逹は久兵衛の兄だった。善逹は久兵衛たちに捕らわれていた。3日後、善逹は久兵衛たちの悪事を書いた手紙を鬼平に残し自害をする。

 そして最後に鬼平は語る。「世の中には人の知恵の及ばない巡り合わせがある、それを誰が仕組むのか、ワシにはまだわからん」

 

 久兵衛一味が10日に万屋に忍び込まなかった理由が最後に明かされるが、劇中では久兵衛の感ばたらきとされていて、その食い違いは良いのかしら。

 第7シリーズまで残る原作についてこれまでも色々と書いて来たが、この話はちょっと映像化が難しい?もしくは話そのものがちょっと複雑なのが、ここまでドラマ化されてこなかった理由なんだろう。

 原作がそうなので仕方ないが一人三役は珍しいし、話を余計にわかりにくくしている。人相書きでたどり着けない犯人にどう迫るか、というところで、久兵衛の兄善逹が出てこざるを得なかったのだろう。

 また冒頭で殺された半七が、盗み仲間長五郎の妻とデキてしまったというエピソードもあり、話が余計にわかりにくい。これが久兵衛の妻とデキていた、とかならもう少しわかりやすかったかもしれないが。

 これら全てを最後の鬼平のセリフがまとめている。そこはさすがに上手い。