ボウリング・フォー・コロンバイン

●327 ボウリング・フォー・コロンバイン 2002

 マイケルムーア監督によるドキュメンタリー。1999年に発生したコロンバイン高校の高校生による乱射事件を取り上げ、アメリカの銃社会について取材を進めて行く。

 一般市民でもごく普通に銃を入手できること。ビル爆破をした兄弟の実情にも迫る。これら武器を製造するメーカーにも。そしてアメリカの軍事的行動の歴史。

 コロンバイン高校での事件と時同じくしてアメリカがコソボに軍事行動を仕掛けたこと。高校での乱射事件のドキュメント。事件後街に現れたNRAのチャールトンヘストン。学校教育の問題点。乱射事件を起こした犯人たちが自殺したため、射殺事件そのものの原因を追求するアメリカ社会。行き着いたのは1組のロックバンド。そのマンソンにもムーア監督はインタビューするが、彼は冷静に事実を話す。

 アメリカ社会の射殺事件の被害者の多さに言及。他国と比較しても異常に高い数値。そしてアメリカ社会が歴史的に恐怖と戦ってきたこと。現代でもマスコミにより恐怖が煽られていること。マスコミで恐怖のターゲットとされているのは、黒人男性。

 一方、アメリカと同じように多くの銃が市民の手にあるカナダでの取材。しかしカナダ人は恐怖を感じておらず、家に鍵をかけない人も多いと言う事実。ニュースを見て恐怖を煽っていないことにムーアは気づく。

 そして6歳の少年が6歳の少女を撃ち殺すと言う事件が発生。表面的なことだけを取材するマスコミ。ムーアは少女の母親が貧しく遠い地まで働きに出ていることを突き止める。しかしアメリカでは911以降軍事費に金が投入されて行く。

 ムーアはコロンバイン事件の被害者の若者2名と犯人が使った銃の弾を売っていたスーパーに直談判に行き、弾の販売をやめさせることに成功する。

 最後にNRA会長チャールトンヘストンにインタビューが行われる。

 

 公開当時随分と話題になったが、今回が初見。

 正直いろいろと知らないことが多く、今更ながら驚かされた。銃の多さがアメリカの銃に関する事件の多さの原因だと思っていたが、カナダの事例が出され、それ以外に本当の原因があることに合点が行く。アメリカ、ではなくアメリカの白人がずっと恐怖と戦ってきたこと、今はそれがマスコミにより煽られていること、見事な指摘なんだと思う。最近日本でもマスコミの報道の仕方の酷さが問題になるが、この映画は約20年前のもの。この時点でこの指摘はスゴいと思う。

 残念なのは、これだけ秀逸な映画が作られたのに、アメリカの銃社会は何も変わっていないこと。

 

 

ボウリング・フォー・コロンバイン(字幕版)

ボウリング・フォー・コロンバイン(字幕版)

  • 発売日: 2014/02/26
  • メディア: Prime Video