鬼平犯科帳 第7シリーズ #09 寒月六軒堀

第7シリーズ #09 寒月六軒堀

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 鬼平は五鉄で彦十たちと酒を飲み、そのまま泊まってしまう。翌朝彦十と話をした鬼平は今日一日仕事を忘れて街をぶらつくことにする。彦十と街を歩いていた鬼平は老侍が慌てて走って行くのを目撃、跡をつける。彼は用心棒に護衛された駕籠を狙っているようだったが、襲うことはできずにいた。そのうち老侍は道端で苦しみ始める。鬼平は彼に声をかけ、彦十に看病を頼み、自らは駕籠の跡をつけることに。

 駕籠が屋敷に入ったところで、鬼平はおまさと出会ったため、おまさに後を頼み五鉄に戻る。鬼平は老侍から話を聞く。名は市口瀬兵衛、駕籠に乗っていたのは山下藤四郎、息子伊織の妻となる女に手を出したため、果たし合いとなり、伊織を斬っていた。市口は20年藤四郎を追い続けていた。

 藤四郎は巴屋に入って行く。巴屋の女主人はおとせ。二人は一緒に江戸に逃げてきていた。しかしおとせは公方に身を売り、その金を手切れ金にして藤四郎と別れていた。藤四郎はその金を元に金貸しとなり成功していた。

 おまさは藤四郎が松井四郎兵衛という名の金貸しであること、独り身であること、金貸しの相手とはいつも巴屋で会うこと、を突き止めて鬼平に報告する。また巴屋の女主人おとせの事が気になると話す。巴屋の番頭はおまさや彦十が店を見張っているのに気づく。そしておまさの後をつけさせる。

 鬼平は市口に報告をし、敵討ちに助成すると話す。そして息子の妻となるはずだった女性の名がおとせだと知る。

 巴屋ではおまさをつけた男からおとせに、おまさが五鉄に入って行ったこと、五鉄には朝方老侍が担ぎ込まれたこと、などが報告される。おとせは老侍の風貌を聞き思い当たる節があった。

 鬼平は市口と藤四郎を討つ手立てを打ち合わせする。駕籠が猿子橋を渡るところで襲うと決める。そして夜二人は敵討ちに向かう。鬼平が用心棒たちを蹴散らす間に、市口は藤四郎と立ち合う。そして見事に仇を討つ。鬼平は市口に巡礼の報謝代を、と言って金を渡し、彦十に市口が江戸を出るまで送るように話す。

 現場におとせが現れる。鬼平はおとせに話しかける。おとせは伊織と藤四郎のことを語り、鬼平に名を聞くが鬼平は何も言わずにその場を去る。

 

 鬼平でよくある敵討ちの話だが、今回はちょっといつもとは異なる。息子の敵討ちはこの頃ご法度とされており、認められていなかった。しかし鬼平はそんなことに構わず市口に助成する。鬼平らしいが、この辺りが第7シリーズまでドラマ化されなかった理由か。

 市口役の中村又五郎さんは鬼平シリーズに何度か出演、非常に味のある役どころをこなしている。第4シリーズの「討ち入り市兵衛」でも敵討ち役の市兵衛として出演し、記憶に残る人だった。さすが歌舞伎界の重鎮と思って調べたら、池波正太郎剣客商売の秋山小兵衛はこの人をモデルに池波さんが書いた、とのこと。スゴい人だったんだ。

 ついでに調べたら、このドラマの原作では、伊織は藤四郎に男色を迫られて…という話らしい。こちらがドラマ化が遅れた本当の原因だな、きっと。