鬼平犯科帳 第7シリーズ #10 見張りの糸

第7シリーズ #10 見張りの糸

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 2年前紙問屋が襲われ一家惨殺、家は放火されたが、この事件は未だ犯人逮捕に至っていなかった。この時彦十は盗賊のうちの二人、稲荷の金太郎と浪人戸田銀次郎を見かけていた。

 彦十は2年ぶりに戸田を見かける。戸田は大黒屋という蕎麦屋に入っていった。彦十はその店は盗っ人宿だと考える。報告を受けた鬼平は大黒屋を見張らせるよう小林に命じる。彦十と大黒屋に行った小林は側にあった仏具屋和泉屋を探索所とするよう和泉屋主人東兵衛に願う。東兵衛は了承するが、店の者たちは不審な態度をとる。

 彦十は蕎麦屋に入って見るが、店の者の顔に見覚えはなかった。

 井関六之助が鬼平を訪ねてやってくる。鬼平は六之助を連れ、和泉屋を訪ねる。東兵衛の顔を見た六之助は見覚えがある顔だが、誰だか思い出せなかった。

 大黒屋の張り込みは続く。そこへ戸田がやってくる。忠吾が跡をつけるが、戸田は女郎屋で遊んだだけで、又大黒屋へ戻ってくる。そこへ女おきくが現れる。彦十は蕎麦屋に入った時に見かけた女だった。戸田はおきくを呼び寄せる。戸田はおきくに惚れていた。またおきくは金太郎に2千両の仕事を持ち込んでいた。それを聞いた戸田はおきくと組んで金太郎を殺し2千両を奪い取る話を持ちかける。

 沢田と忠吾は戸田が雨の中、人を襲い金を奪う現場を目撃する。忠吾が跡をつける。忠吾は戸田を見張るため、女郎屋に上がる。

 彦十は大黒屋に来たおきくをつけ、もう1つの盗っ人宿を寺島村のはずれに見つけていた。そこは金太郎一家の盗っ人宿だった。おまさと同心たちがそこを見張っていた。

 忠吾は戸田をつけ料理茶屋に入る。そこには金太郎とおきくもいた。忠吾は金太郎をつけて来たおまさと合流する。そして金太郎たちの狙いが赤坂薬問屋丸屋で今夜だと知る。報告を受けた鬼平は、薬問屋、大黒屋、寺島村を見張るように命じる。

 六之助は五鉄で一人酒を飲んでいる時に、東兵衛の顔を思い出す。彼は盗っ人で昔掟を破った仲間を殺した現場を六之助は見ていたのだった。六之助は鬼平に知らせに行く。

 寺島村の盗っ人宿を張っていた沢田たちは宿に踏み込む。しかしそこはもぬけの殻だった。鬼平は一人和泉屋に向かう。そこで見張っていた忠吾の脇で居眠りを始める。東兵衛一家は鬼平が来たことで慌てる。彼らは自分たちが盗っ人であったことがバレたのかと思うが、東兵衛は大丈夫だと話す。大黒屋でも盗っ人たちの動きはなかった。

 居眠りをしていた鬼平だったが、物音がして瞬時に動き出す。盗っ人たちが和泉屋を襲ったのだった。鬼平は見事に返り討ちにし、戸田を斬り、金太郎を捕まえる。そこへ六之助がやって来て、東兵衛に話をする。鬼平は金太郎におきくのことを聞く。東兵衛はおきくは自分が殺した仲間の妹だと話し出し、兄の仇と思っているならば討たれてやるつもりだと話す。

 後日、和泉屋におきくが訪ねてくる。隙を見て東兵衛を斬ろうとするが、鬼平が声をかけ止める。おきくは兄が盗賊だということを知らなかったと話すが、鬼平はおきくが金太郎と戸田を操っていたこと、全てを知っていたはずだと話す。そしておきくを捕らえる。

 

 意外な展開を見せる話だった。盗賊たちの宿を見つけ、狙い先を聞き、いつも通り準備万端に与力同心たちがそこを固めるが、盗っ人たちが襲ったのは全く異なる場所、盗賊改方が見張所にしていた店だった。しかしそこにはちゃんと鬼平が…

 いくら何でも鬼平さん、勘ばたらきがスゴ過ぎ(笑 このスゴ過ぎな部分がこの話がここまでドラマ化されなかった理由かなぁ。

 しかしこの話の最大の注目点は、途中見張所で交わされる忠吾の会話。なぜか忠吾はすでに結婚したことになっており、その妻おたかの名前を呼ぶシーンが何度か。いやいやいや。この展開にはビックリ。ネットで調べたら、この吉右衛門鬼平シリーズでは、次の第8シリーズで結婚することになっているのに… しかしこの「見張りの糸」は、原作ではその第8シリーズ「影法師」の後の話になっているようで。だから原作上、忠吾が結婚しているので、そのようなセリフが登場したものと思われる。知らなかったからビックリ。