鬼平犯科帳 第7シリーズ #11 毒

第7シリーズ #11 毒

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 鬼平は五鉄で飲んでいるときに陰陽師山口天竜を見かける。傲慢な態度をとる男だった。後日鬼平は彦十と町を歩いているときに天竜を見かけるが、掏摸が天竜の懐から袱紗包みを盗む。鬼平は掏摸を、彦十は天竜の跡をつける。掏摸伊太郎から包みを奪い返した鬼平はその中に30両の金と縫い付けがあるのを見つける。中を見ると白い粉だった。彦十は天竜に声をかけ鬼平が掏摸の跡をつけていると話すが、天竜は彦十の前から姿を消す。

 役宅に戻った鬼平は同心たちに話をする。酒井は30両を見捨てて逃げた天竜に不信を持つ。小林は白い薬を立泉先生に見てもらった結果、南蛮渡りの毒薬だと判明したと報告する。鬼平は袱紗の笹竜胆の定紋の家を小林に調べさせる。

 盗賊改方は三河町の天竜の屋敷を調べる。五郎蔵が三河町の医師が匙を投げた病人を天竜が祈祷で治したこと、半年前までは易者をしていたこと、最近では旗本土屋左京家にも出入りしていること、を調べて来る。土屋左京は上様のお側用人だった。

 小林、酒井は鬼平に報告をする。鬼平はこの件は土屋左京も絡んでおり、命懸けの捜索となると話す。

 天竜が出かけたのを五郎蔵が跡をつける。天竜は町医者井坂宗源の家に立ち寄った。小林は彦十に宗源のことを調べさせる。小林は土屋左京のことも調べるが、評判は悪くなかった。鬼平は掏摸の伊太郎を呼び寄せる。伊太郎を沢田に同行させ、天竜の跡をつける。天竜は土屋家の武家と密会する。鬼平はその武家の駕籠を襲い、伊太郎に掏摸をさせる。その中には薬包が入っていたことを武家に告げる。盗賊改方は天竜を捕まえる。

 この件は解決を見ないまま時が過ぎる。翌年正月、鬼平宅に土屋家の家老が訪問し鬼平に金を渡そうとするが、鬼平は突っぱねる。盗賊改方では天竜と宗源の調べを進め、天竜に毒の調達を依頼したのは土屋家の側用人万右衛門だと判明、万右衛門は100両を天竜に渡したが30両をくすね、残りの70両で宗源から毒を調達していた。

 半年後、土屋左京は急死、土屋は取り潰しになった。1年後、鬼平はこの件について久栄と話す。伊太郎は役宅の小者になっていた。

 

 鬼平にはとても珍しい城内まで及ぶ話。当然のことながら気持ちの良い結末とはならない。それでも最後に鬼平が久栄と話すことで話は終わる。鬼平らしくない展開がここまでドラマ化されなかった大きな要因だろう。

 綿引勝彦が亡くなった後、初めて五郎蔵が出て来る話を見ることができた。やっぱり他の密偵とは一味違い重みのある役。今回は珍しく天竜捕縛の現場でも活躍をしていた。綿引勝彦が亡くなったとの報道を受けて、ネットで「あちらで彦十さんや粂八さんと一杯やってください」という文章を目にし、ちょっとうるっと来てしまった。五郎蔵親分、どうか安らかに。