白い恐怖

●339 白い恐怖 1945

 コンスタンス医師はグリーンマナー精神科医院で働いている。医院ではマーチソン院長は病気のため引退、新しい院長エドワーズが来ることに。

 コンスタンスはエドワーズと夕食の場で初対面を果たすが、その際テーブルクロスに描いた模様を見てエドワーズの表情が一変する。

 翌日コンスタンスの患者ガームズがエドワーズに話をしている所へコンスタンスは呼ばれる。そこに電話がかかるが、エドワーズは知らない女性からだと話す。エドワーズはコンスタンスをランチに誘う。その夜寝付けないコンスタンスは図書室へ行き、エドワーズの著書を探す。そして院長室の電気が灯っていることに気づき部屋に入る。そこで二人はお互いに愛し合っていることを告白するが、コンスタンスの着ていたローブの模様を見てエドワーズは発作を起こす。その時ガームズが喉を切ったと知らせが入り、二人は手術室へ。しかしそこでエドワーズはまたも発作を起こしてしまう。

 コンスタンスはエドワーズを看病する。しかし彼からもらったメモと著書にあったサインの筆跡が異なることに気づく。彼女はエドワーズにあなたは誰なのかと問い詰める。エドワーズは自分がエドワーズを殺したと話すが記憶喪失になっており自分の名前もこれまでのことも思い出せなかった。コンスタンスは彼に思い出すように話す。彼はホテルでコートにJBのイニシャルが入ったシガレットケースを見つけたと話す。そしてまた明日話をすることにし別れる。

 JBはコンスタンスにNYエンパイアステートホテルにいる、とメモを残し医院を去っていく。翌日エドワーズの助手が医院にやって来て男が本人ではないことが判明、警察も動き出す。コンスタンスはNYへ行くことに。

 彼女はホテルでJBと会うことに成功するが、新聞に彼女の写真が掲載されており、二人はホテルから逃げる。駅に行き、NYから列車に乗ったはずのJBに、切符売り場に立たせて行き先を思い出させる。そしてローマの地名がJBの口から発せられる。しかし警官に気づかれたため、ローマ行きを止め、ロチェスターのブルロフ医師のところへ行くことに。ブルロフはコンスタンスの恩師だった。

 ブルロフの家に着くと先客として警官が来ていたが二人は難を逃れる。二人はブルロフの家に泊まることに。その夜洗面所で白いものを見たJBは発作を起こしカミソリを持って階下のブルロフの元へ。しかしブルロフの機転でJBに睡眠薬を飲ませ寝かしつける。翌日ブルロフはJBを警察に届けることを提案するが、コンスタンスは治療をしたいと望み、数日間だけ治療を行なってみることに。

 JBに夢の話をさせる。そこからJBは少しずつ記憶を取り戻し、ガブリエル・バレーの地名を思い出す。二人はそこへ行きスキーをする。そしてJBは子供の頃の事故を思い出し、それをきっかけに記憶が蘇る。エドワーズはスキーをしていて事故で死んだと警察にも話し警察が遺体確認をするが、遺体は拳銃で撃たれていた。JBは殺人容疑で逮捕されることに。

 コンスタンスは医院へ戻る。そして新院長が来ないため医院に残ることになったマーチソンと話すが、彼の一言から事件の全貌に気づく。そしてマーチソンと対峙する。

 

 子供の頃に観た記憶があったが、覚えていたのは、JBの夢のシーンだけだった。しかし今回映画冒頭の字幕に

  DREAM SEQUENCE BASED ON    DESIGNS BY SALVADOR DALI

とあってビックリ。ダリが協力していたのか。言われてみれば夢の中の犯人が持っていた車輪のゆがみ方はまさにダリの時計だもんなぁ。

 話は精神分析医がまだ世に知られていなかったと思われる時代、精神分析で人の悩みを解決する、というもの。そこに殺人事件と主役二人の恋物語が重なって行く。ヒッチコック精神障害によほど興味を持っていたんだろうなぁ。夢分析で全てが解決して行くのは現実的ではないけど、映画的にはアリ、だなと思わせる。普通に映画としてもヒッチコックならではのカメラワークやちょっとした笑いのシーンもあり、まずまずかな。ヒッチッコック晩年の作品のつまらなさに比べれば十分楽しめる。

 でも見所はやっぱり主役の二人。「カサブランカ」のバーグマンと「ローマの休日」のグレゴリーだもの。そりゃ恋に落ちるよね、開始20分で(笑