勝利への脱出

●340 勝利への脱出 1981

 ドイツの捕虜収容所にシュタイナー少佐が赤十字の視察とともにやってくる。捕虜たちがサッカーに興じているんを見たシュタイナーはサッカーの指導をしていたコルビーに声をかけ、ドイツ軍対捕虜チームでのサッカーの試合をしないかと提案する。コルビーは断ろうとするが、用具を揃えることや食事を改善することなどを交換条件として試合を受けることに。

 一方捕虜の中の幹部たちは脱走計画を立てていた。ハッチはドイツ軍の監視役の中に注意力が足りないものがいることを見抜き、脱走を計画する。

 コルビーはチームの主力となる捕虜を選抜して行く。ハッチもチームに加わろうとするが、コルビーは拒否する。

 サッカーの試合はシュタイナーの思惑を越え、ドイツ軍のプロパガンダに利用されることになり、ドイツ軍対たの収容所の捕虜も含めた連合軍チームとして、パリのスタジアムで開催されることに。コルビーは東欧の名選手たちも収容所に呼び寄せチームを作る。

 ハッチは自分が見つけた甘い監視役のドイツ兵がサッカーチームの監視役となったため脱走がしにくくなったことから、チームへの参加をコルビーに訴え認められる。彼はトレーナーとしてチームに参加することに。

 捕虜の幹部たちはサッカーの試合を利用しチーム全員を脱走させる計画を思いつく。そのためにはパリのレジスタンスと連絡を取る必要が出て来たため、ハッチに以前思いついた脱走計画を実行させる。ハッチは脱走に成功、レジスタンスたちに計画を伝える。スタジアムの地下の下水道を使えば脱走が可能だと彼らは答え、そのことを告げるためにハッチに収容所へ戻ることを要望する。ハッチはわざと捕まり収容所へ。

 ハッチは独房に入れられたため連絡が取れなかった。コルビーはハッチをキーパーとして試合に連れていきたいと要望、キーパー役が骨折したためと嘘をつく。

 そしてパリでの試合。審判も味方につけたドイツ軍は前半4点を入れる。連合軍は前半終了間際に1点を返し4-1に。その代償にペレは負傷、10人での戦いとなる。そしてハーフタイム。レジスタンスたちの協力で選手控え室の浴槽に脱出口が開けられる。しかし選手たちは試合に勝てると言い出し、ハーフタイムでの脱走を取りやめ、後半に臨む。そして連合軍の猛攻。スコアは4-3に。その後同点ゴールを決めたように見えたが

ゴールは無効と判定される。ここでペレが試合に復帰。見事なオーバーヘッドシュートで同点に。しかしその後ペナルティを取られ、ドイツ軍のPKに。これをキーパーのハッチが止めたことで観客の興奮は最高潮に達し、グランドに観客がなだれ込む。そしてその騒ぎに乗じて選手たちは観客に混じり、堂々と脱走をして行く。

 

 昔見た記憶が残っていた。ラストを覚えていたのとスタローンとサッカーという不思議な組み合わせという印象だった。しかし今回数十年ぶりに見返してみると意外に面白かった。

 有名な「大脱走」を思わせる収容所内での会話や行動も面白かったが、やはり見せ場はラスト30分のサッカーの試合。昔見たときはまだJリーグのかけらもない頃だったので、映画内でのサッカーの試合の興奮ぶりがよくわからなかったが、今は当然違う。サッカーが国の威信をかけたスポーツになり得ることは十分理解できるので、観客がフランス国歌を歌い出すシーンはちょっとした感動モノだった。「カサブランカ」の酒場でのフランス国歌斉唱のシーンを思い出した。

 映画に本物のプロサッカー選手を使うこの方法は現在でも十分通用するのでは?と思う。残念ながらこの映画のサッカー選手はペレしか知らない(笑 今ならばそれなりにわかるので、現代版の「勝利への脱出」を作って欲しいなぁ。