レベッカ

●341 レベッカ 1940

 冒頭マンダレー屋敷への道への回想から始まる。

 回想の主は海岸沿いの崖で下を見ていた男を見て心配になり声をかけるが、男からはなんでもないと言われてしまう。彼女はホッパー夫人の付添人としてホテルに滞在、崖に立っていたウィンター氏と知り合う。ホッパー夫人が病気で休んでいる間に彼女はウィンターとデートを重ねる。彼はマキシムと呼んでくれと話す。

 数日後、ホッパー夫人の娘が婚約したとの知らせが入り急遽ニューヨークへ帰ることに。彼女がマキシムにそれを伝えるとマキシムは彼女に結婚を申し込む。そして二人はマンダレー屋敷へ。

 屋敷では使用人が大勢で二人を出迎える。その中でもダンバース夫人はマキシムの前妻とともに屋敷にやってきた古株のハウスキーパーだった。ダンバースはマキシム夫人に屋敷の西館は今は使っていないと話す。

 マキシムが財産管理人のフランクと出かける。残されたマキシム夫人は前妻がそうしていたという居間で時間で過ごす。その際机の上にあった置き物を壊してしまう。ダンバース夫人に見つからないようにそれを机の引き出しに隠す。

 昼になりマキシムの姉夫婦がやって来る。マキシム夫人は義姉と話し少しホッとする。彼女たちが帰ったのち、夫人はマキシムと海岸を散歩する。その際連れていた犬ジャスパーが駆け出して行き、それを追った彼女は小屋を発見する。そこで怪しい男と遭遇、小屋の中には前妻の名前の入ったものがあった。マキシムは彼女に怒るが、彼女は謝り仲直りする。

 夫人はフランクに前妻のことを色々と尋ねる。彼女は綺麗な人だったとフランクは答える。夫人がマキシムと一緒に新婚旅行のフィルムを見ている時に、居間の置き物が亡くなったことで騒ぎになる。夫人はマキシムに正直に告白する。その後夫人は自分に自信がないことを打ち明けるが、マキシムはまた怒ってしまう。

 マキシムは仕事でロンドンへ行く。夫人は使われていないはずの西館に誰かがいるのを見かけ見に行く。そこで会ったのは前妻の従兄弟ジャックだった。彼が帰った後、ダンバースに前妻の部屋を見せてもらうことに。そこで前妻とジャックがやり取りをした仮装舞踏会の招待状を見つける。

 夫人は帰ってきたマキシムに仮装舞踏会を開くことを提案する。夫人は舞踏会での自分の衣装を考えていた。ダンバースが壁に掲げられた肖像画を参考にするといいと話し、夫人はその案に乗ることに。

 舞踏会当日、肖像画の姿になった夫人がマキシムの前に現れるとマキシムは怒りをあらわにする。不思議に思った夫人はダンバースの元へ。彼女はそれが前妻の格好だったことを暴露し、夫人に対し、前妻のことを話し、あなたは邪魔、窓から落ちて死になさいと話す。その時海から爆発音が聞こえる。難破船の救助信号だった。家の者は皆海岸に救助に向かう。

 夫人も海岸へ行くが、マキシムが見つからなかった。難破船の探索時に前妻の乗っていた船も見つかったとの知らせが入る。マキシムは海岸の小屋にいた。そこでマキシムは夫人に驚くべきことを告白する。前妻はマキシムが殴り殺した、前妻はジャックと出来ており、妊娠したがそれもジャックの子供だということ、マキシムは前妻の遺体を船に乗せ海岸で沈めたのだった。1年前に見つかったという前妻の死体は別人のものだったが、マキシムは嘘の証言をしていたのだった。

 審問会が開かれる。そこで船大工が船の海水弁が開いていたこと、壁に内側から開けられた穴が空いていたことを証言する。マキシムは前妻が自殺する可能性があったかを審問されるがその時夫人が倒れ審問は昼食休憩に入る。二人の元へジャックがやってきて、当日の手紙を証拠に前妻が自殺するはずがないと言い出す。警察官も呼び話し合いを始める。ジャックはダンバースも呼ぶ。前妻が自殺したかどうかが焦点になる。事故当日前妻が診察を受けた医師の名前をダンバースが証言する。皆でその医師の元へ行く。医師は前妻は妊娠しておらず、ガンで余命いくばくもなかったと話す。

 これでマキシムの殺しの疑いは晴れる。ジャックはダンバースに事実を電話で告げる。マキシムはフランクとともに家路を急ぐ。マンダレー屋敷はダンバースが放火していた。燃え盛る屋敷の中、西館にダンバースがいた。

 

 有名な作品だが初見。1940年の古い映画だが、いやぁ面白かった。

 冒頭からの急な結婚、豪華な屋敷に不慣れな新妻、という前半。不気味なハウスキーパー、怪しげな西館に突然現れる従兄弟、という中盤。主役の夫人がピンチに陥るが、難破船の登場で話が急展開する終盤、と完璧なストーリー展開。

 ヒッチコックの映画の「怖さ」はやはり「人間の持つ怖さ」にある。このダンバースというハウスキーパーの怖いこと怖いこと。難破船登場直前の夫人に対する囁きが本当に怖い。

 画面には一度も登場することがなかったタイトルの前妻「レベッカ」も、マキシムの告白を聞く限り、かなり怖い。ヒッチコックは女性の怖さをよく知っていたのか(笑

 今ではこの程度のどんでん返しは、映画や小説では当たり前になっているが、今から80年前ならば、この映画のどんでん返しは相当驚かれただろうと想像できる。それはアカデミー賞取るでしょう、って感じ。

 海岸の小屋でマキシムが告白する際のカメラワーク、まるでそこにレベッカがいるかのようなカメラの移動がスゴい。古さを感じさせない。

 このブログを始めてヒッチコックの映画は何本か観ているが、これが間違いなくベストだな。