●342 鳥 1963

 ペットショップに九官鳥を買いに来たメラニーはミッチに店員だと思われ声をかけられる。ミッチは妹のためにラブバードを買おうとしていた。ミッチのために店内を探すメラニーだったが、実はミッチはメラニーのことを知っていて声をかけたのだった。

 ミッチは店を出て行く。彼のことが気になったメラニーは車のナンバーから持ち主の情報を調べ、ラブバードを発注する。

 翌日ミッチの家に鳥を届けるが彼は留守。隣の住人からミッチがボデガ・ベイに行っていると聞かされる。メラニーは車を飛ばしてボデガ・ベイへ。そこの雑貨屋でミッチの家と妹の名前を聞く。しかし妹の名前がわからず彼女の先生の家も一緒に教えてもらう。メラニーは先生アニーに会い妹の名前がキャシーだと教えてもらうが、彼女はミッチと何かありげな感じだった。メラニー港に戻りモーターボートでミッチの家に行き、ラブバードを置いてくる。しかしミッチがそれに気づきボートの返却先へ先回りをする。そこでメラニーはカモメに襲われ怪我をする。レストランに入り怪我の手当てをする。そこでメラニーはミッチの母リディアを紹介され、夕食に招待される。メラニーはアニーの家に行き空き部屋を貸してもらい泊まることに。

 リディアは鳥が買ったばかりの餌を食べないことで文句を店に言うが、他の餌を買ったダンの家でも同じだと聞き不思議がる。メラニーは家を去るときにミッチと喧嘩をしてしまう。アニーの家に戻ったメラニーはアニーがミッチの元恋人だったこと、母親リディアが厄介だ、と聞かされる。その時アニーの家の玄関にカモメが衝突して死んでいるのを見つける。

 翌日キャシーの誕生パーティが開かれる。野外で遊んでいた子供達が鳥に襲われる。家に入ったミッチ一家だったが、今度は暖炉から鳥が大量に侵入して来て襲われる。暖炉を塞ぎなんとか凌いだ後に警察に連絡するが、話を信じてもらえない。

 翌日母親リディアは鳥の餌の件でダンの家へ行く。ダンは家の中で鳥に襲われ死んでいた。驚いたリディアは急いで家に帰る。メラニーはリディアを看病し、キャシーを迎えに学校へ行く。授業が終わるのを待っていると、カラスの大群が集まってくる。アニーに知らせ子供達と一斉に逃げるが鳥に襲われる。

 メラニーはレストランへ行き、新聞社を経営する父親に電話するが信じてもらえない。レストランの客たちも話を信じなかった。その時、店の外のガソリンスタンドにいた人間が鳥に襲われ、あたり一帯はパニックになる。

 鳥が去った後、ミッチとメラニーはキャシーを迎えにアニーの家に行く。しかし家の前でアニーは鳥に襲われ死んでいた。家の中にいたキャシーを連れ家に戻る。家に戻ったミッチは家の出入り口を板で塞ぐ。ラジオからは有益な情報は得られない。家の中で静かにしていた4人だったが、鳥たちが襲ってくる音が聞こえる。ミッチは窓から侵入しようとする鳥を退治する。夜中皆が寝ている時メラニーは異常に気づき2階への部屋へ。そこには窓から侵入した大量の鳥たちがいてメラニーは襲われ気絶する。ミッチが気づき彼女を部屋から助け出す。

 ミッチは街を出る決心をする。ガレージにあった車を動かし家族を乗せ家を出て行く。

 

 動物パニックものの元祖、かな。CGがない時代にこれだけの映像を作るのはさすがにヒッチコック。一羽のカモメに襲われるところから始まって、映画中盤からは大量の鳥たちによる大襲撃が映像化される。いやぁ怖い怖い。大量のカラスが飛び立つシーンは作り物じゃないのか、とわかってビックリ。

 さらに凄いのは終盤、ミッチの家が襲われるシーンでは、大量の鳥を映像で見せるのではなく、その音で恐怖心を煽る。ちょっとだけ出て来た(窓から入ってこようとする)カモメが可愛く見えたもの(笑

 単なる恐怖映画、と思っていたが、改めて見ると、家族や愛情の問題も描いているのね。主人公メラニーは母親と不仲だし、ミッチの母親は夫に先立たれ子離れできずにいるし、教師アニーは元ミッチの恋人で別れたのにミッチの実家のある街に住んでいるし。これらの問題は何も解決しないし、そもそも鳥が襲って来た理由も明らかにされないし。わからないことづくめの映画だけど、なんか見れちゃうんだよなぁ。あぁこれが名作、と言われる所以か。