裏窓

●343 裏窓 1954

 カメラマンのジェフは左足を骨折しギブスをはめ自室にこもっている。科挙位の看護師ステラと恋人リザが部屋を訪ねて来てくれる。動けないジェフの楽しみは裏窓から見えるアパートの住民の生活を覗くことだった。

 リザとは価値観の違いから結婚できないと考えていたジェフはリザにそのことを告げる。しかし話の平行線のままリザは帰っていく。車椅子でウトウトしたジェフは夜中に目が覚める。アパートの中年夫婦の夫が大きなスーツケースを持って何度も出かけて戻ってくるのを見かける。ジェフが寝ている間に夫婦は一緒に出ていく。

 翌日ジェフは夫婦の妻がいつも寝ていたベッドからいなくなったことに気づく。看護師ステラに話すが彼女は相手にしなかった。ジェフは望遠鏡やカメラの望遠レンズで夫の様子を探る。彼は台所で包丁やノコギリを片付けていた。

 夜家に来たリザに夫の話をする。彼女も相手にしなかったが、夫が大きなトランクをロープで縛っているのを見て、リザは話を真剣に聞くことに。リザは家に帰るときに向かいのアパートへ行き、夫婦の名前ソーワルド夫妻と住所を調べてジェフに電話する。

 翌日ジェフは友人で刑事のドイルに連絡をする。その時ソーワルドが大きなトランクを業者に運ばせていた。ステラが業者の名前を調べにいくが間に合わなかった。ドイルが部屋にやってくる。ジェフは一連の話をする。その時ソーワルドが中庭にやって来て、花壇を掘っていた子犬を追い払う。ドイルはアパートで調べ、ソーワルド夫妻は昨夜出かけたのを目撃されていると話す。

 夜ソーワルドはクリーニングを持って帰ってくる。奥さんのハンドバッグから貴金属を取り出す。ジェフはソーワルドが逃げると思いドイルに連絡する。しかしドイルはこれは事件ではない、荷物は夫人が旅行先で受け取ったと調べがついたと話し帰っていく。ジェフとリザはソーワルドのことは考えないことにする。

 その時中庭から悲鳴が聞こえる。向かいのアパートで子犬を飼っていた夫婦が子犬が殺されたと叫んでいた。アパート中の住民が顔を出すが、ソーワルドだけが顔を見せなかった。ジェフは前に撮った写真を見て、花壇の花の様子が変わったことに気づく。子犬は花壇を掘ったために殺されたと判断。花壇を掘り返すことに。ソーワルドに偽の手紙を書き電話でホテルへ呼び出し、その間にリザとステラが花壇を掘ることに。

 しかし花壇からは何も出てこなかった。リザは証拠をつかむためにソーワルドの部屋へ侵入。妻の結婚指輪を見つけるが、その時ソーワルドが帰って来てしまうピンチに。しかし警察がソーワルドの部屋に来てリザは警察へいくことになるが、ソーワルドがジェフに気づく。ジェフはステラに保釈金を持たせ警察へ行かせる。ソーワルドはジェフに電話をし、部屋へやってくる。フラッシュで対抗するが、ジェフは部屋から落とされてしまう。ドイルたちがやって来て、ジェフは助かるが、両足を骨折することに。

 

 またも有名なヒッチコック作品。「怖さ」を前面に出した作品、というよりはミステリー色が強い一本。安楽椅子型探偵モノといった感じか。映画はジェフの部屋と部屋から見えるアパートだけで全てが進行する。舞台劇のようだが、アパートの数多くの部屋がのぞき見えるところがポイントなので、舞台ではちょっと無理かも。

 ソーワルド夫人の殺害事件がストーリーのメインだが、ジェフとリザの関係やアパートの他の部屋の住民のエピソードがメインのストーリーとともに進行していてコメディ部分も多い。

 「レベッカ」がヒッチコックのベスト、だと書いたが、ミステリー映画としてはこの「裏窓」もベストに匹敵する一本だと思う。状況証拠だけで掏摸を詰めていく、というのがちょっと無理があるが、恋人リザや看護師ステラもだんだんとジェフの推理に魅せられていくのが面白い。ラストのオチも良いし。

 グレース・ケリーはこのブログを初めて初だと思っていたが、「真昼の決闘」にも出ていたのか。全く気づかなかった。でもやっぱり美しい。