鬼平犯科帳 第7シリーズ #13 二人女房

第7シリーズ #13 二人女房

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 高木軍兵衛は深川の味噌問屋佐野倉の用心棒(第1シリーズ#23「用心棒」)。以前盗賊改方が盗賊馬越の仁兵衛の捕縛をする際に協力、実は剣術は全くダメだったが、鬼平の勧めで坪井道場に入門、腕を上げてきていた。

 軍兵衛が夜回りをしていると店の者が向かいの店に盗賊が入ったらしいと言ってくる。見てみるとまさに盗賊が逃げていくところ。軍兵衛は盗賊を追いかけ、船で逃げる一味を二人切り捨てるが、残りは逃げてしまう。その中に軍兵衛を知る男佐吉がいた。

 軍兵衛は鬼平に報告。盗賊たちは彦島の仙右衛門一味。仙右衛門は手下たちが奪ってきた金から自分の取り分を取り、残りを皆で分けるように話す。そして妾おとしのところへ行ってしまう。手下たちは不満を言うが捨蔵が戒める。手下の一人、佐吉が家に帰るとそこに仙右衛門の妻お増が待っていた。お増は仙右衛門が妾を作っていることに気づいていた。

 佐吉は仙右衛門に会いにいく。そしてお増が妾のことに気づいていること、お増から仙右衛門殺しを50両で頼まれたこと、を話す。驚く仙右衛門だったが、佐吉が仙右衛門を殺すつもりがないことを聞き安心する。そして100両でお増殺しを依頼する。ただ佐吉はお増に世話になっていたため、殺し屋を雇うように勧める。

 佐吉は軍兵衛を訪ねる。二人は昔街道筋のゴマのハエをしていた仲間だった。佐吉は軍兵衛に30両で仙右衛門殺しを依頼する。その夜軍兵衛は鬼平に会いに五鉄へ行くが会えなかった。彦十とおまさに五鉄には来なかったことにしてくれと言い残し店を去る。彦十は鬼平に報告する。

 佐吉が家に帰るとお増が待っていた。お増はおとし殺しの手配ができたかと確認する。その夜二人は一夜を共にする。軍兵衛は佐吉に殺しの依頼を断ろうとするが、佐吉は佐野倉の主人に会いに行き、昔の悪事をバラすと脅す。軍兵衛は佐吉の言うことを聞き、仙右衛門の家へ一緒に行き彼の家で世話になることに。佐吉は仙右衛門を殺すように言う。困っている軍兵衛の元へ彦十が現れる。

 同心たちは仙右衛門のことを調べ始める。鬼平は軍兵衛から全てのことを聞く。鬼平は軍兵衛に仙右衛門宅へ戻るように話す。佐吉はお増におとし殺しではなく、仙右衛門を殺すつもりだと話す。佐吉は仙右衛門はすでに親分の資格はないので、仙右衛門を殺し自分が彦島一家を束ねるつもりだと話す。

 翌日佐吉は仙右衛門宅を訪ねるが、まだ軍兵衛が仙右衛門を殺していないことを詰る。軍兵衛は30両では人殺しは安いと言うと佐吉は50両を払うと答える。

 佐吉が家に帰るとお増の他に彦島一家の手下たちが集まっていた。佐吉は捨蔵に仙右衛門を今夜中に殺し、殺し屋を始末するのでその後に連れてくるように、と命じられる。佐吉は仙右衛門宅にいる軍兵衛を訪ね、殺しをするよう催促する。軍兵衛は仙右衛門の寝床へ。そこには鬼平もおり、仙右衛門とおとしを気絶させた後、殺したかのような芝居を打ち、佐吉に聞かせる。そして佐吉は軍兵衛を連れて仲間の元へ。斬り合いになるが、そこには鬼平を含め盗賊改方が待っており、一味を捕縛する。

 お増もおまさの誘いで捕まり、一味の調べが行われる。佐吉はとぼけたことを言うが、そこへ仙右衛門が現れ佐吉を殴り倒す。忠吾が心配するが鬼平は捨て置け、と相手にしなかった。仙右衛門、佐吉、お増は死罪となる。

 

 第1シリーズ以来となる高木軍兵衛が登場。だいぶ懐かしいサブキャラクター。第1シリーズの時には見た目とは裏腹に剣術はまるっきりダメだったが、本作では道場で腕を上げた、という設定。それでも気弱なところは変わっていないのがミソ(笑

 ストーリーは昔一緒に悪さをした男に軍兵衛が殺しを依頼される、言うことを聞かなければ今の用心棒稼業ができなくする告げ口をする、と脅される、というもの。まぁよくある話。ただ軍兵衛は鬼平の仲間のようなものなので、事はあっさりと解決。

 殺しの依頼人が実は二人(仙右衛門とお増、の夫婦二人)いて、それを佐吉が上手い事やって自分の利益になるようにしようとするが、こちらもあっさりと女(お増)に裏切られる。

 単純に「見せ場のない」話、なのがここまで映像化されなかった理由だろう。かろうじて最後の調べで、とぼける佐吉の前に仙右衛門が現れるサプライズがあるが、これも直前に仙右衛門宅での一芝居を見ているのでこちらとしてはあまり驚きはない。

 さらにラストで何も知らなかった仙右衛門の妾が無実を訴える、というシーンがあったがこちらも話の中で特にその部分(妾が仙右衛門が盗賊だと知らなかった)が描かれていないので、共感はできない。

 そもそもタイトルが「二人女房」なのに、妾のことがあまり描かれていないので、タイトル自身にも疑問符か。「二人」は正妻と妾のこと、だよね?