ウエストワールド

●350 ウエストワールド 1973

 テーマパーク「デロス」へ行ってきた客のインタビューから始まる。皆デロスを楽しんできた様子がうかがえる。デロスは「中世」「古代ローマ」「西部」の3つのパークを持つ巨大娯楽施設。その時代の人間になりきって生活を楽しむことができる。

 ピーターとジョンはデロスを訪れる。ジョンは2回目の訪問だったがピーターは初めてでジョンにいろいろとデロスのことを尋ねる。デロスに着いた2人は「西部」を選択、着替えをして西部の町へ繰り出す。ホテルに着いた2人、早速ホテルの従業員がロボットであることをジョンはピーターに教える。見た目にはわからないが、手のひらの関節を見れば人間かロボットかは一目瞭然だった。

 2人は町の酒場へ。そこでガンマンに因縁をつけられピーターはガンマンを撃ち殺す。ガンマンはロボットだった。ホテルに戻ったジョンはピーターに人間を撃ったらどうなると尋ねる。拳銃は人間の体温を感知し人間を撃てないようになっていた。2人は娼館へ行き女を抱く。ジョンはすっかりデロスが気に入った。

 夜殺されたロボットたちは回収され修理されていた。技術者たちはロボットの故障率が最近上がってきていることを危惧していた。

 翌朝ジョンとピーターの部屋に酒場で殺したガンマンが現れる。風呂に入っていたピーターはそれに気づきガンマンを撃ち殺す。それが原因でピーターは保安官に捕まり牢屋へ入れられる。しかしジョンの差し入れで見事に刑務所から脱獄することに。

 「中世」エリアでは客が女王との密会を楽しんでいた。「西部」にいる別の客は念願の保安官になっていた。ジョンとピーターは山へ逃げていたが、そこで蛇に腕を噛まれてしまう。それを監視していた技術者たちはロボットの異変に気づき、蛇を回収して調査するが原因は不明だった。技術者たちは客の安全のためデロスの休業を提案する。

 ジョンとピーターは娼館でプログラムされた大喧嘩を酒を飲みながら楽しんでいた。「中世」にいた客は召使いの女性を口説こうとするが拒否される。技術者はまたも命令を聞かない召使いロボットを調査するが原因はわからなかった。デロスの閉鎖も上層部の反対でできずにいた。「中世」にいた客は黒騎士に決闘を申し込まれ戦うことに。しかし人間を傷つけるはずのないロボットの黒騎士は客を刺し殺してしまう。監視していた技術者たちは電源を切るがロボットの暴走は止められなかった。

 ジョンとピーターは娼館からホテルへ帰る途中にあのガンマンと出会う。そしてジョンが決闘をするが撃ち殺されてしまう。ピーターは慌ててその場から逃げ出す。馬を使って山の方へ逃げるがガンマンは執拗に追いかけてくる。ピーターはそこで技術者と出会い事情を話すが、技術者はロボットからは逃げられない、酸をかけ視覚、聴力を奪うことだと答える。その場へ追いついたガンマンが技術者を撃ち殺す。

 ピーターは古代ローマのエリアに逃げ、地下へ通じるマンホールから地下へ降りる。そこは技術者たちのいるエリアだったが、コントロールルームで技術者たちは皆死んでいた。ロボットの修理ルームで酸を見つけたピーターはガンマンを待ち伏せ酸を浴びせかける。しかしガンマンはまだ追いかけて来る。ピーターは中世のエリアに逃げ込む。そこで視覚を失ったガンマンが壁で燃える炎に気を取られている隙にピーターはガンマンに火をつける。燃え盛るガンマン。

 ピーターはその場から逃げる途中で助けを求める声を聞く。捕らえられていた女性を助け出し水を飲ませると女性はショートし火花を出す。彼女もロボットだったのだった。驚くピーター。そこへ黒焦げになったガンマンがやって来るがそのまま倒れて燃えてしまう。

 

 名作とは言えないのだろうが、子供の頃に観てとても印象に残っていた作品。細かいストーリーは覚えていなかったが、ユルブリンナーが不気味で怖かったことだけは覚えていた。「デロス」のようなテーマパークに憧れがあったのかなぁ。西部のガンマンになりたい、というのは子供の頃は誰しもが持つ夢じゃないだろうか。しかもデロスでは安全が確保されているんだから。

 その安全で楽しい街のはずのデロスで、原因不明でロボットが暴走、人間を襲い始める、という単純明快なストーリー。因縁をつけてきた相手を酒場で撃ち殺し、娼館で女たちを抱き、牢屋からは脱獄。まるで西部劇の主人公になったよう。そんな楽しい前半から、ロボットの暴走が本格的になる後半が恐ろしい。「荒野の7人」で有名なユルブリンナーが、そのまんまの格好でピーターを追いかけて来るのが恐ろしい。

 今回は初めて知ったが、この監督は後のジュラシックパークの監督なのね。確かに楽しいはずのテーマパークで人間がピンチに陥る、という設定はそのまんま一緒だ。さらにこの「ウエストワールド」がドラマ化もされているのも知った。確かに今の映像技術ならもっといろいろと出来るだろうし、ネタにも困らなそうだし。ちょっとドラマも観てみたい気がする。

 しかし何十年ぶりかで観たが、こんなB級作品っぽい映画も楽しいね。