禁断の惑星

●354 禁断の惑星 1956

 23世紀、連邦巡洋艦C-57-Dは地球から離れて1年、アルテア星に向かっていた。20年前ベレロフォン号が着陸したがその後連絡がないため、生き残りの捜索と救助が任務だった。アルテア星にいるモービアス博士から通信が入り、こちらは問題ない、アルテアへの着陸はするな、と言われるが、船長のアダムスは博士と交渉、着陸することに。

 アルテアへ着陸するとロビーというロボットが運転する車が迎えに来ており、アダムス船長、ファーマン大尉(ジェリー)、船医オストロー大尉(ドク)の3人で博士の家へ。3人は博士から食事のもてなしを受け、ロビーの優秀さを見せてもらう。そして20年前に起きた事件も。ベレロフォン号の乗組員は博士とその妻を除いて皆この惑星の理解不能な力に殺されたとのこと。博士とその妻だけがこの惑星に残ることを希望していたのが、二人が生き残ることができた理由だと博士は語る。しかしその妻もその数ヶ月後に亡くなっていた。博士は娘アルタと一緒に暮らしていた。3人はアルタを紹介される。アルタは父親以外の人間を見るのが初めてだった。

 博士はアダムス船長に地球へ帰るように言うが、アダムスは地球の指示を仰がなくてはいけない、連絡には時間がかかると答える。博士も協力を申し出る。

 翌日から船では地球への連絡のための準備を始める。アルタがロビーの運転する車で資材を提供しにくる。クックはロビーに酒の製造を頼み、ジェリーはアルタにキスを教える。それを見つけたアダムスはジェリーを叱り、アルタにも服装のことで注意する。家に帰ったアルタはロビーに新しい服を作らせる。

 その夜見張りがいたにもかかわらず、宇宙船内の送信機が壊される事件が発生する。

 アダムスはドクと博士に会いに行く。博士は部屋にこもっていた。アダムスは外にいたアルタに会いに行く。二人は恋に落ちる。家に戻ったアダムスはドクと博士の部屋へ入り事件のことを話す。博士はこの惑星の生命体のことを話し出す。彼らはクレルといい地球よりも高い文明を持っていたが滅んでしまっていた。博士は残された文書を読み解き、クレルの文明を理解していた。そしてロビーを作ったのだった。またクレルのIQ増幅装置を使い自分の脳の力も高めていた。クレルは精神だけで生き残る計画を立てていた。博士の家にはクレルが残した無限エネルギー装置があった。

 宇宙船では夜光線銃を使って警護していたが、乗組員の一人が殺される事件が発生。残っていた足跡からは巨大な生物が想像された。博士は20年前と同じことが起きる、とアダムスに進言する。アダムスはビーム砲を用意し目に見えない敵を待ち構えた。そこへ敵が現れビーム砲などで応戦、ジェリーを含めた何人かの乗組員がやられてしまう。

 アダムスは対処法を考えるために博士の家にあったIQ増幅装置を使うことを思いつく。博士とアルタを避難させるためにも博士の家へ向かう。アダムスがアルタと話している間にドクはIQ増幅装置を使う。そしてクレルたちの計画が成功していたこと、しかしイドという怪物を生み出してしまったことを話す。

 アダムスはイドの正体が博士の潜在意識であることに気づき博士に伝える。その時イドが博士の家を襲う。全てを理解した博士はイドと対決、イドを倒し自らも死んでしまうが、最後に惑星の自爆装置を作動させる。アダムスはアルタを連れ宇宙船へ。そしてアルテアから離れる。宇宙船からアルテアの爆発を見届ける。

 

 その後のSF作品の全てに影響を与えたと言われる作品。確かにこの映画の映像は、子供の頃に見た宇宙モノの挿絵そのもの。そしてロボットロビー。子供時代もっとも有名なロボット、名前は知らなかったしこの映画がオリジナルなことも知らなかったが、このロボットのおもちゃをあちこちで見かけた。

 古典的なSFだが、ストーリーの核は人間のおぞましさ。博士の潜在意識が20年前の仲間たちを殺し、新たにやってきた宇宙船の人間たちも襲うことになる。科学や技術が進歩しても人間の中身は昔からあまり進歩がない、ということなんだなぁ。

 「見えない敵」や「初めて父親以外の人間にあった娘」など、面白い設定がいっぱい。もちろん一番気に入ったのは、「成分通りのバーボンを480本も作れるロビー」であるのは間違いない(笑