七人の侍

●357 七人の侍 1954

 野武士がある農村を襲おうとしているのを百姓の一人が聞く。皆で集まり相談、長老は侍を雇うことを提案。4人の百姓が街に出て腹一杯飯を食べさせる条件で助けてくれる侍を探す。しかし侍は見つからないまま10日ほどが過ぎる。その町で子供を人質に立てこもりが発生、浪人勘兵衛が僧侶の姿に化け子供を救い出す。

 4人は勘兵衛に事情を話し助けを求めるが断られる。同じ宿にいたゴロツキたちが官兵衛に、百姓たちは自分たちはひえを食い米を侍に食わせようとしているのに、と非難する。勘兵衛は話を受ける。

 勘兵衛は村の様子を聞き7人の仲間が必要だと判断、立てこもりを解決した勘兵衛に陶酔した若侍とともに仲間集めを始める。6人揃ったところで勘兵衛は村へ向かうが、立てこもり事件から勘兵衛の周りをウロついていた菊千代とともに7人で村へ。

 7人は百姓たちを訓練させる一方で、村の周りの様子を確認、野武士対策を立て始める。菊千代が農家から武士の防具や武器を探し出してきたり、若侍が村の娘と恋に落ちたり、一部の農家を犠牲にし野武士対策を立てることに当の百草が反対したり、と色々なことが起きるが、勘兵衛は百姓たちを説得し野武士と戦うことに。

 麦の刈り入れが終わった時に野武士の一部が偵察に来る。それを倒し捕まえ様子を聞いた勘兵衛たちは、野武士の住処を強襲する。その中にいた女には村の男の妻もいた。その夫が燃え盛る家に入ろうとするのを止めようとした平八は野武士の銃弾に倒れる。

 そして野武士たちは村を襲いに来る。3日間に渡る死闘が繰り広げられ、野武士たちを全滅させるが、7人の侍や百姓たちにも犠牲が出る。

 百姓たちが田植えをしている傍で、勘兵衛は勝ったのは百姓たちだと呟く。

 

 日本映画の最高傑作とされている作品だが、3時間半の長尺のためこれまで観ないでいた。今回が初見。

 しかしやはり黒澤映画。3時間半など全く気にならないほど面白かった。7人を集めるまでが1時間強〜序盤。侍たちが村へ行き百姓たちと交流、野武士対策の準備をするまでが1時間〜中盤。そして野武士との3日間の死闘〜終盤。どのパートでもしっかりとしたエピソードが描かれ飽きさせない。

 仲間集めでは若侍が浪人を試験する撃ち込みをするが、それに対する反応も面白かった。最後の三船敏郎が思いっきり叩かれてしまう場面は大笑い。この映画での三船敏郎コメディリリーフかと思っていたが、中盤では百姓たちの苦しみを7人の前で叫ぶ場面があり重要なサブキャラとなっている。ミフネは終盤でも、自分の若さから持ち場を離れ損害を大きくしてしまう、という失態を犯すなど人間臭さも見せる。

 三船だけでなく、他の6人の侍もキャラクタが立っていた。中でも勘兵衛志村喬の渋さはカッコ良すぎるぐらい(笑 スターウォーズにも影響を与えたというのがよくわかる。

 

 観終えた後に語りたくなる映画はあまりないが、これは誰かと話したくなる。確かに最高傑作だと思える一本。