鬼平犯科帳 第8シリーズ #03 穴

第8シリーズ #03 穴

https://www.fujitv.co.jp/onihei/photo/s8-3.jpg

 口紅が人気の「壺屋」で不可思議な事件が起きる。店の主人が金倉に入ると中が荒らされ320両が盗まれていた。早速盗賊改方が調べに入る。しかし金倉は店の中にあり人目につき、奉公人にも怪しい者はおらず、錠前もしっかりとかかっていた。後日壺屋では鍵を新しく作り、金倉にかけようとするが中には盗まれた320両が返されていた。

 実は一連の事件は、壺屋の隣で扇子の店を開いている「平野屋」の主人源助の仕業だった。源助と平野屋の番頭茂兵衛は昔盗賊だった。源助は鍵師である近江の助治郎に50両で合い鍵を作らせ金倉に忍び込んだのだった。源助はその合い鍵を川へ捨てていた。茂兵衛は源助の遊びを戒め、源助もこれでお終いにすると答える。その夜、茂兵衛は壺屋へ通じる穴を塞ぐことに。

 鬼平は平野屋を訪ねる。その夜、鬼平は五鉄に彦十とおまさを呼び、平野屋の主人元助のことを調べるように命じる。彦十は源助の評判が良いことから不思議がるが、鬼平は壺屋の図面を見せ、戸締りも破らずに壺屋へ侵入するためには隣の平野屋から入る以外に方法はないだろうと答える。

 その夜源助は穴を塞ぐ茂兵衛を部屋で待ち昔話をする。二人は10年前に盗賊から足を洗っていた。3ヶ月後、おまさは平野屋を探っていたが、怪しいところは何も掴めなかった。壺屋の若夫婦の子供のお祝いの席が開かれ源助も壺屋に招かれる。手水に立った源助は若旦那の嫁が主人にいじめられていること、金倉の鍵が新しくなったことを見かける。

 源助は神社にお参りに行った際、偶然助治郎を見かけ声をかける。そしてまた合い鍵を作ることを依頼する。そして茂兵衛を京都へ扇子の仕入れに行かせる。

 街中で彦十が鍵師助治郎を見かけ跡をつける。その先でおまさと出会う。おまさは源助をつけていた。二人は源助と助治郎が一緒にいるのを見る。助治郎の合い鍵が出来上がったのだった。おまさは鬼平に報告する。鬼平は源助が名のある盗賊だったと推理し、壺屋の番頭を呼び出す。

 彦十が鬼平の口利きで壺屋の飯炊きとして店に入る。そして夜床下に潜り込み、源助が現れるのを目撃する。源助は茂兵衛が埋めた穴を掘り返していた。次の夜、源助は壺屋の金倉に忍び込み、作り物のネズミを置いて帰る。しかし部屋には茂兵衛が待っていた。茂兵衛は源助の命令をおかしく思い、京へ行かずに戻ってきていたのだった。茂兵衛は源助を問い詰める。源助はもう二度としないと答えるが、その時穴から鬼平が現れ二人に事情を聞き正体を明かす。そして捕まえない代わりに二人に穴を塞ぐように命じる。

 

 盗賊騒ぎが起こるが盗まれた金が元の蔵に戻る、という不思議な事件が発生。昔とった杵柄で年老いた盗賊がいたずらをした、というのが真相。

 鬼平が何の情報もない段階で、犯人?のいる平野屋を訪れた際には、さすがに感ばたらきが凄過ぎ、と思ったが、壺屋の図面を彦十に見せ、それ以外に方法はないと答えたところはちょっと痺れた(笑 さすが鬼平

 現代であれば、不法侵入の罪になるだろうが、それすらも見逃し、二人を許す鬼平がカッコ良い。最後のナレーションで、源助茂兵衛が後に鬼平の御用を務めた、とあったが、さもありなんと思う。

 源助役の坂上二郎さん、これまた懐かしい。後年は渋い役者さんだった。