イニシエーション・ラブ 乾くるみ

イニシエーション・ラブ 乾くるみ

 若い男女の恋愛を描いているが、ミステリーにもなっている15年ほど前に話題となった小説。前半(side-a)では大学生の男性の、後半(side-b)では社会人となった男性の恋愛を描くが、最後の最後で大どんでん返しが待っている。

 

 「カラット探偵事務所の事件簿」を読んで著者のwikiを見た際にこの小説が著者の代表作のように書かれていたので読んでみた。「衝撃のラストが…」という紹介を読んでしまっていたので、どんなラストが待ち構えているのか、とこちらもちょっと身構えて読んでしまったせいか、ラストを読んでも、「あぁなるほどね」程度の衝撃しか受けなかった(笑 やはりこの手の話は事前知識なしで読まないと本当の楽しさは感じられない。

 ただ小説の舞台が1980年代後半のある年となっており、主人公と同年代である自分としては、当時の生活環境がひどく懐かしく感じられた。当時の恋愛事情?もまさにこの通りで、今のようにスマホがある訳でもなく、連絡手段が電話しかない状況をうまく生かしていると感じられた。

 さらに言えば、「衝撃のラスト」も当時からすれば、ごくごく普通にある話で、それは男性女性に関わらないため、「まぁ、そうだよね」としか思えなかった。紹介文に「必ず二回読みたくなる」とあったが、多分もう読むことはない(笑

 

 この話のラストに比べれば、私にとっては「カラット探偵事務所の事件簿1」のラストの衝撃の方が大きかったと言える。