みちのく迷宮 高橋克彦

●みちのく迷宮 高橋克彦

  短編6編と評論エッセイなどをまとめた1冊。

 「百物語の殺人」

 高橋ミステリーの探偵、塔馬双太郎が舞台劇の制作発表の場で起きた殺人事件に挑む。ポイントは舞台を撮影していたビデオ画像。

 「幽かな記憶」「棄てた記憶」は高橋の記憶シリーズの1作。「幽かな〜」は幼い頃に乳母車に乗っている自分の記憶を辿っていきたどり着く真相を、「棄てた〜」は実の両親の記憶を辿っていきたどり着く真相をそれぞれ描く。

 「首なし武者」は完四郎広目手控シリーズの1作。出羽山形で発生した首なし死体。完四郎が出羽藩の江戸屋敷の人間から話を聞き真相を探り出す。

 「人喰い」はおこう紅絵暦シリーズの1作。長屋で起きた奇妙な事件。焼けた首と腕だけが見つかり鬼の仕業だと噂が立つ。被害者の残された遺品から真相を探る。

 「歌麿の首」は塔馬双太郎のデビュー作品らしい。春画の鑑定を依頼された塔馬双太郎が花巻を訪れるが、そこで歌麿の幻の作品を見つける。同行した雑誌記者の杉原は特集を組むと張り切るが、意外な真相を塔馬が語り始める。

 

 最近高橋克彦総門谷を再読しようとしているが読む機会がなく、準備段階としてこの1冊を読んで観た。久しぶりに高橋ワールドに触れた感じ。2年前に竜の柩は読んだが、高橋のSF以外の、ホラーというかミステリーというか何といって良いかわからない不思議な世界に浸ることが出来た。

 浮世絵シリーズもやはり面白い。総門谷の前にこちらを読みたくなって来た(笑