鬼平犯科帳 第8シリーズ #05 はぐれ鳥

第8シリーズ #05 はぐれ鳥

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 小間物屋丁子屋に盗賊が押し込み主人や奉公人を皆殺しにしてから10ヶ月が立つが何の手がかりもなく鬼平の気は晴れなかった。唯一の手がかりは奇跡的に生き延びた手代の証言だけで、彼は賊が冷泉家に納める扇子を盗んでいったのを見ており、その賊に妙なものを感じたというものだったが、何が妙だったかは思い出せていなかった。

 鬼平は役宅に戻り、同心たちの剣稽古を見る。沢田が皆を打ち倒す中、小野派一刀流を学んだ吉見だけが沢田相手に気を吐いていた。鬼平は吉見の成長が楽しみだと語る一方で忠吾が稽古にいないのを気にしていた。

 その頃忠吾は茶屋で遊女お照と遊んでいたが、お照は別の客に呼ばれて行ってしまう。ふてくされる忠吾だったが、お照を呼んだのは女だと聞き、女将にその女の名前を聞く。女は津山薫という名だった。忠吾は店を出て津山が出て来るのを待ち、跡をつける。そして声をかけ絡み出すが、津山は忠吾に扇子を投げつけ去って行く。

 忠吾は役宅に戻り鬼平から怒られるが、忠吾の顔の怪我を見た鬼平は事情を聞く。そして扇子を受け取り、それが冷泉家への品だと見極める。生き残った手代に扇子を見せ冷泉家への品だと判明、さらに手代から扇子を奪ったのが女だったことを聞き出す。

 鬼平は茶屋への見張りを命じる。お照が50両で津山に身請けされたことが判明する。鬼平は津山の人相書きを描かせ捜査を開始するが、手がかりは掴めなかった。同心たちが村松のご馳走(ご飯と漬物)を食している時、一人吉見だけは師匠宮口の命日のため墓参りをしていた。そこへ津山が顔を見せる。津山と吉見は宮口の元で剣修行をした同門の仲間だった。吉見は津山が丁子屋を襲った賊の一人だと考え津山に何をしているのか尋ねる。津山は答える代わりに剣を抜く。しかし吉見はどうして津山がそうなってしまったのかを聞きたいと申し出る。

 鬼平に吉見からの手紙が届く。鬼平は宮口の墓へ。そこにいたのは吉見一人だった。吉見は津山が朝までには帰ると言い残し去ったことを鬼平に告げる。しかし朝になっても津山は戻ってこなかった。腹を切ろうとする吉見だったが、鬼平はそれを止め、津山に惚れていることを忘れるように言う。

 茶屋を見張っていたおまさが津山とともに茶屋に来たことがある浪人が現れたのを目撃し、浪人の盗人宿を突き止める。そこには盗賊たちが集まっており、次の盗みをしようとしていた。そこには津山もお照もいた。浪人は邪魔になったお照を殺す。怒った津山は浪人たちに斬りかかる。そこへ盗賊改方が押し入る。津山の前には吉見が立ち、勝負を挑む。見事に津山を倒す吉見。

 宮口の墓参りをする吉見の元に鬼平が現れ、津山の遺体を吉見が引き取り供養するように言う。そして津山が不憫だと話す。

 

 男色の侍の話はあったと思うが、いわゆるレズの話は初めてか。しかも剣士であり相当な腕であるという変わり種。鬼平の中では大変珍しい話だろう。

 10ヶ月手がかりのなかった事件が忠吾の嫉妬から解決するのも珍しい。それもたった1本の扇子から、というのが面白い。

 ゲスト同心が登場する話は何本もあったが、そのゲスト同心が良い意味で活躍するのも珍しいか。相当な剣の使い手である津山を見事に倒すことになる。鬼平に剣士とはいえ、女を切らせることができないための登場か。

 津山役の毬谷友子は宝塚の女優さんらしい。初めて見たかも。