●林真紅郎と五つの謎 乾くるみ
「カラット探偵」シリーズが面白かったので、別シリーズも読んでみようと思い手に取った1冊。
「いちばん奥の個室」
主人公林真紅郎が姪とコンサートに行く。その会場のトイレで女性が怪我をしているところを発見する。ポイントは「マジックの助手の入れ替わり」
「ひいらぎ駅の怪事件」
真紅郎が友人と飲んだ帰りにひいらぎ駅へ。そこで女性の階段からの落下と別の女性のカメラ盗難事件が発生する。ポイントは「雨の日」
「陽炎のように」
友人の奥さんが亡くなり告別式へ出席。その日真紅郎の周りで不思議な事が多発する。ポイントは「誤解、誤認」
「過去から来た暗号」
街中で昔の友人と偶然会った真紅郎は子供の頃に真紅郎が書いた暗号を見せてもらい解読をしようとする。ポイントは「ホームズの踊る人形」
「雪とボウガンのパズル」
早朝珍しい雪の中散歩していた真紅郎が殺人事件に巻き込まれる。ポイントは「初雪」
この作者の話は「カラット探偵」シリーズでもそうだったが、とても身近に感じられる。仮想の街を舞台にしているのだろうが、その街なみを容易に想像できると言えば良いのだろうか。起こる事件も、そんなに大げさなものではない事が多く、それでいてキチンと推理小説になっているところが良い。
「いちばん〜」はいかにも推理小説っぽい話で少し興醒めしたが、「ひいらぎ〜」はその解決が多少無理があるものの大変意外なオチとなっていて驚く。「陽炎〜」はこれまたいかにもありそうな話。真紅郎の周りで起きる、真紅郎が感じる事が告別式の日にはありそうな感じで見入ってしまった。それでいてしっかりとオチがついている。
「過去から〜」は「カラット探偵」でもあった作者渾身のトリック?もの。よくこんなことを考えたなぁと感心させられる。オチも効いている。
「雪とボウガン〜」は静岡県出身者からしたら、唸ってしまうような解決。実際には起こり得ないだろう事件だが、被害者と同じことはきっとしてしまうだろうなぁ(笑
この作品もシリーズ化されているようなので、早速続編を読んでみたい。