六つの手掛り 乾くるみ

●六つの手掛り 乾くるみ

 「林真紅郎と五つの謎」が面白かったので、同じシリーズの続編?を読む。探偵役は前作の真紅郎の兄弟、林茶父。

 

 「六つの玉」

 偶然一つの家に集まったお互いを全く見知らぬ5人。雪の降る夜、そのうちの1人が殺される。窓の外のツララの状態から茶父が推理を始める。

 

 「五つのプレゼント」

 茶父が思い出話を姪にし始める。友人とその恋人が爆死した事件。恋人の誕生日に大学の研究室の5人がその女性にプレゼントを贈り、その中に爆弾が仕込まれていたのだが。

 

 「四枚のカード」

 大学で補講授業をしようとする時に現れた外国からの教授。彼がESPカードを使ったマジックを披露する。その後補講授業の間にその教授が殺される。教授はESPカーdの切れ端を持っていたが…。

 

 「三通の手紙」

 スナックで知り合った客の家に泊まることになった茶父。翌日その男の友人が殺されたと連絡が入るが、昨日その友人から男の家の留守番電話にメッセージが入っていた。携帯もあるはずなのに、なぜ固定電話に留守番電話にメッセージを入れたのか。

 

 「二枚舌の掛軸」

 資産家の家の晩餐会に呼ばれた茶父。資産家は珍しい掛軸を客に見せるが、その夜その掛け軸の前で殺されてしまう。現場には被害者の血液が散乱していたが、なぜか掛軸の裏にだけ血痕が残されていた。

 

 「一巻の終わり」

 推理小説作家の家で殺人が発生する。現場には被害者が読んでいた本が伏せて置かれておりそれが犯行時刻を決める手がかりとなるが…。

 

 前作の感想として身近に感じられることをポイントに挙げたが、本作は探偵役の茶父がマジシャン?ということからか、事件は非常に意外な場所ばかりで発生、しかも茶父もその場所にいるのが初めて、ということが多い。

 それでも茶父は論理的に容疑者を絞り込んでいき、あっという間に犯人を言い当ててしまう。ある意味ホームズよりも素早い(笑 そのためか、論理に多少無理があるところもあるがご愛嬌か。

 それよりも、相変わらず一捻りある部分が面白い。「五つのプレゼント」では、事件を聞いた姪が、茶父の話し振りから犯人を特定(まるで読者の推理思考!)したり、「一巻の終わり」では、その結末にニヤリとさせられたり。

 同じ兄弟の探偵シリーズということのようだが、前作と本作ではだいぶ趣が異なるのも面白い。当然ながら次の作品も読みたくなる。