20年後 オー・ヘンリー ショートストーリーセレクション

●20年後 オー・ヘンリー ショートストーリーセレクション

 オーヘンリーの全9編からなる短編集。特に良かったものを3つ。

 

 「20年後」

 街を巡回中の警官が男に声をかける。男は20年ぶりに友人に会うと話す。警官が立ち去ると友人らしき男がやって来るが…

 

 「改心」

 金庫破りのジミーは刑務所で赦免状を受け取り出所する。ジミーは仲間の元へ訪れ、金庫破りの道具を受け取り早速何件かの金庫破りをする。敏腕刑事ベンが捜査に乗り出すことに。1年後ジミーはある街で銀行頭取の娘と知り合い、真面目に生きていくことを決意する。ジミーは娘の父親と銀行で会うが、その時誤って子供が金庫に閉じ込められてしまう。ジミーは昔の腕を披露し子供たちを助ける。そこにはベンが偶然居合わせていたが…

 

 「心と手」

 東部行きの特急列車に乗ったフェアチャイルドのお嬢さん。向かいの席に昔の知り合いイーストンが座っていることに気づき声をかける。しかしイーストンは隣の男と手錠で繋がれていたため驚く。護送される犯人の言葉でイーストンが刑事であることを知ったお嬢さんは安心してイーストンと会話をするが、犯人の希望で喫煙車両へ移動していく。それを見ていた他の客たちが話し出す…

 

 残りは

「高度な実利主義」 令嬢に恋した男が公園で浮浪者に声をかけ話し始める

「三番目の材料」 ヘティはシチューを作ろうとするが材料が足りず…

「ラッパの響き」 強盗を犯した犯人が昔の知り合いと出会うが、彼は刑事だった

「カーリー神のダイヤモンド」 カーリー神のダイヤモンドのボツ記事を見た記者が「バラの暗号」 詩人が自宅から見える屋敷の窓に薔薇を見つけるが…

オデュッセウスと犬男」 犬の散歩を義務付けられた男たちの話

 

 オー・ヘンリーの名前は何かにつけ目にすることがあったが、実際に小説を読むのは初めて。本当に短い短編でありながら、その切れ味は抜群。特に上記した3編は、短いものはほんの数ページしかないが、意外な展開とオチがあり驚かされる。

 どの話も映画、小説、漫画などで目にしたように錯覚するが、オーヘンリーが活躍したのは今から100年以上前。こちらがオリジナルだったのか。