林兄弟シリーズ第3作。14編からなる短編集。
ミステリ専門の古書店の店主が林兄弟の1人で探偵役?。高校の同級生、近所の高校生コンビ、そして月イチで来店する女性教師が常連でこの5名で「日常の謎」系の会話がされそれを解いていく、というストーリー。
さらに各話の終わりに、店主のもう一つの顔である書評家として国内外のミステリをその時の常連の会話に出たテーマに沿って紹介する、というおまけ付き。
ミステリ紹介はテーマごとにされているので、物によっては触手が動いてしまう(笑
短編としての日常の謎は、そんなにスゴい謎は出てこないが、それでも「乾くるみ」なので中には驚かされる謎も登場する。
「臨光寺池の魔物」 ワゴン車の窓に書かれた店名。
「転居通知と名刺」 マンションで誰もいない階に止まる謎。
「亡き者を偲ぶ日」 本棚に不自然に納められた数冊の本の題名と著者での暗号。
などなど。日常の謎としては高いレベルのものと言えるだろう。しかし一番驚いたのは
「都市伝説の恐怖」 子供の作文に書かれた恐ろしい文章の真実は…。
かな。相変わらず、よくもこんなことを考えつくなぁという解決編。
しかし何と言ってもこの本の最大の売りは最後の一編で明かされる、全てが繋がっていた、というトリック。そしてその話のミステリ紹介の最後の一文でのオチ。
乾くるみはイニシエーションラブで名を馳せた作家として知られるが、自分としてはこの1冊のオチの方が好きだ(笑
蛇足だが、各話の最後にあるミステリ紹介の最後に書かれている「本とも」。いかにもそれ風に装うために書かれた言葉と思っていたら、徳間書店が実際に発行しているPR誌の名前なのね。今度書店で探してみよう。
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