鬼平犯科帳 第9シリーズ #02 一寸の虫

第9シリーズ #02 一寸の虫

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 鬼平たちが盗人宿を見張っている。次々と盗賊が宿へ入っていくが、それを密偵仁三郎が確認していた。盗賊が全員集まったところで鬼平たちは踏み込む。捕り物の最中に盗賊のお頭、不動の勘右衛門が鬼平を短銃で狙う。それを見た仁三郎は鬼平を守り自分が撃たれてしまう。

 怪我をした仁三郎は独り身のため、鬼平はおまさに仁三郎の面倒を見るように命じる。仁三郎はおまさに感謝し、生涯恩を忘れちゃいけない3人目にすると話す。1人目は鬼平、2人目は船影の忠兵衛だった。

 怪我から回復した仁三郎は妹夫婦の営む店へ行く。そこには仁三郎の娘がおり、5年前に妻を亡くした仁三郎は妹夫婦に養女として引き取ってもらっていたのだった。その店を出た仁三郎に昔の仲間鹿谷の伴助が声をかける。

 10年ぶりにあった二人。伴助は船影の忠兵衛に仕返しをする、と仁三郎を誘う。仁三郎は断ろうとするが、伴助は娘の名前を出し仁三郎を脅す。15年前仁三郎は船影の忠兵衛の配下だったが、そこで殺さず犯さずの掟を教え込まれていた。

 仁三郎は仕方なく伴助の盗人宿へ出向く。そこには伴助の仲間たちがおり、皆船影の忠兵衛に厳しくされ恨みを持っていた。伴助たちは船影の忠兵衛が浅草の小間物問屋谷口屋を襲うのを手伝いつつ忠兵衛を殺すつもりだった。

 仁三郎の面倒を見ていたおまさは彼の異変に気付く。そしてそのことを五郎蔵に相談する。その帰り道、五郎蔵は谷口屋の前にいる船影の忠兵衛を見かける。忠兵衛は店の引き込み役の女と会話をしていた。五郎蔵はそのことを鬼平に報告する。鬼平は谷口屋周りに見張所を設けるよう命じる。

 五郎蔵は五鉄に仁三郎を呼び出し軍鶏鍋をご馳走する。そこで彼の悩みについて聞くが仁三郎は答えなかった。五郎蔵は迷ったなら自分が死ぬ道を選ぶと答え、後のことは長谷川様が面倒を見てくださると話す。それを聞いた仁三郎はその通りだと覚悟を決める。

 仁三郎は置き手紙を書き、娘の顔を見て、伴助の盗人宿へ。それを五郎蔵がつけていた。おまさが仁三郎の置き手紙を見つける。それは鬼平に宛てた手紙だった。夜になり仁三郎は盗みに行こうとしていた伴助を刺す。しかし彼の仲間に襲われてしまう。盗賊改方がそこへ討ち入るが仁三郎は死んでしまう。

 船影の忠兵衛一味は伴助たち抜きで谷口屋へ押し込むが、待っていたのは鬼平たちだった。観念した忠兵衛は抵抗せずお縄になる。

 鬼平は五郎蔵、おまさと仁三郎のことを話す。忠吾は仁三郎はなぜ相談してくれなかったのかと話すが、五郎蔵は板挟みになっていたのでしょうと答える。

 鬼平は忠兵衛の調べをする。その際仁三郎のことを尋ねるが忠兵衛はそんな男は知らないと答える。

 

 第9シリーズ開幕。久しぶりに五郎蔵親分も登場。ゲストも豪華で、見事なスタートを切った。

 密偵仁三郎が冒頭から活躍するが、その直後娘に会いに行った段階で、もう悲劇が待ち構えているとしか思えないのは、鬼平あるあるだろう(笑 案の定昔の仲間に見つかって仕事に引きづり込まれる。ただし仕事を手伝うことなく、仲間を殺すがあっという間にやられてしまう。

 火野正平鬼平で何度か見ている気がしたが、シリーズ登場はこれが初らしい。この後、スペシャル版に何度か出ているようだが。恩がある二人、鬼平とかつての親分とを天秤にかけることになる役だが、なかなか良かった。忠吾が最後になぜ知らせてくれなかったのかと話し、見ている側もその通りだと思うが、そこはそれ仕方なしだろう。

 最終シリーズの開幕だが、今回の話はいかにも鬼平らしい話だったように思う。後3話も良い出来を期待したい。