北北西に進路を取れ

●384 北北西に進路を取れ 1959

 広告会社に勤めるソーンヒルはホテルで打ち合わせ中に男2人組に拉致されタウンゼント邸へ連れて行かれる。わけのわからないソーンヒルはそこにいたタウンゼントに説明を求めるが、彼はソーンヒルカプコンという男性と間違えているようで取り合わない。何も答えられないソーンヒルは酒を飲まされ、車で崖から転落死させられそうになる。ソーンヒルは何とか車を奪い、酩酊状態のまま車を運転し逃げるが、警察に捕まってしまう。

 翌日ソーンヒルの言い分を聞いた警察とともにタウンゼント邸へ行くが、タウンゼントは留守で国連に行っているという。タウンゼント夫人にソーンヒルは酒を飲んで帰ったと言われてしまう。

 ソーンヒルは最初のホテルに戻りカプコンの部屋を突き止め部屋に侵入する。カプコンがホテルの従業員に会っていないことを突き止め、タウンゼントの写真を入手する。

その時電話がかかり身の危険を感じたソーンヒルは逃げるが、エレベータで男たちと一緒になる。母親の一言で何とかその場を切り抜け、ソーンヒルは国連へ。

 ソーンヒルカプコンを名乗りタウンゼント氏と会うが、全くの別人だった。さらに話を聞こうとしたところタウンゼント氏は男の投げたナイフで死んでしまう。ソーンヒルはナイフを抜いたところを見つかり、殺人犯に疑われ新聞にも掲載されてしまう。

 その頃CIAでは幹部たちが、架空の人物カプコンの名を語ったソーンヒルのことを新聞で読み協議をしていた。彼らはバンダムを捕まえるために架空の人物カプコンを作り出したのだった。彼らはソーンヒルについては何もしない決断をする。

 ソーンヒルはシカゴへ列車で向かう。その車内でケンドールという女性に助けられ食事をともにし、部屋に誘われ一夜を共にする。しかしケンドールはバンダムの一味だった。

 シカゴについたソーンヒルはケンドールがカプコンから電話で待ち合わせの場所と指示された41号線のプレーリーストップへバスで行くことに。そこで彼は農薬散布をする飛行機に狙われる。何とかその場を切り抜けたソーンヒルは、カプコンのいるホテルへ。そこでケンドールを見かけると共に、カプコンとの待ち合わせが嘘だったことを知る。ソーンヒルはケンドールの部屋へ。彼女から出て行ってと言われるが、彼女のメモから彼女がオークション会場へ行くことを知り、会場へ。そこにはケンドールとともにバンダムもいた。身の危険を感じたソーンヒルはオークション会場でわざと騒ぎ出し警察に連れて行かれる。しかし警察が連れて行ったのは空港だった。そこにCIAの人間がおり全ての事情を打ち明ける。協力を求められるが断るソーンヒル。しかし彼の登場でCIAのスパイであるケンドールの身が危険であることを知らされ協力することに。

 バンダムたちがいるラシュモア山へ行きカフェでバンダムたちと会う。そこでソーンヒルはケンドールに撃たれてしまう。バンダムたちは逃げるが、空砲だったためソーンヒルは無事だった。ソーンヒルはケンドールと一緒に帰るつもりが、彼女はまだバンダムと一緒に行動することに。病院に隔離されたソーンヒルはそこを逃げ出し、バンダムの隠れ家へ。そこでケンドールの空砲のトリックがバレていること、バンダムたちの隠していたフィルムのありかを聞き、彼女を助け出そうとし、ラシュモア山でバンダムたちと戦うことに。

 

 ヒッチコックの全盛期の一本。「サイコ」の前年に製作されているので、その充実ぶりが伺える。そう言えば、「サイコ」を観たのは去年の6月だった。

 とにかく導入部が圧倒的に面白い。始まってすぐに別人に間違えられ屋敷に連れて行かれるが、相手は主人公の話を一切受け付けない。そして泥酔させられ車へ。その後も連れ込まれた屋敷まで行くが、ここでも空振り。さらに国連まで出てきて殺人犯に疑われてしまう。主人公がどんどん追い込まれて行く、まさにヒッチコックの上手さが全面に出ている。

 ただこの後、いきなり種明かしといてCIAが登場するのはいかがなものか。「めまい」でも同じことを感じたが、種明かしが早すぎるような気がする。もっと謎のまま進行しても面白いと思うんだけどなぁ。

 確かにカプコンが架空の人物だと判明した後に、ケンドールが登場し、こちらの方がストーリーとしての本線になって行くので仕方なしか。ケンドールの正体についても二転三転するし。ただラストのラシュモア山での争いはちょっとしょぼかったかなぁ。

 それでも2時間強の映画、十分楽しめた。有名な飛行機に襲われるシーンも観たし。ところであのバス停、あんな何もないところのバス停って本当にあるのか(笑 誰が使っているんだろう? 

 ネットで読んだが、スピルバーグの「未知との遭遇」はこの映画のオマージュらしい。言われてみるとラストシーンは似た絵面が多い気もするが。