鬼平犯科帳 第9シリーズ #03 男の隠れ家

第9シリーズ #03 男の隠れ家

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 錠前外しの天才、玉村の弥吉が捕まる。弥吉を連れて来た忠吾は彼に他の囚人の拷問を見せ、覚悟をするようにと話す。しかし弥吉は牛尾の太兵衛の元で20年あまり務めをしていたことだけ話し、その後のことは何も語らなかった。牢に入れられた弥吉は拾った釘で早速牢の錠前を外すが、そこには鬼平が待ち構えていた。鬼平は牛尾の太兵衛のことをよく知っており、盗人の掟を守る盗賊だったと言い、弥吉にお上のために勤めないかと誘うが、弥吉は断る。それを聞いていた忠吾は牢の前にある神棚の灯篭の火のことを弥吉に告げる。

 ここから弥吉が捕まった経緯の話になる。ひと月ほど前、街中で彦十とおまさが弥吉を見かけ跡をつけ住処を見つける。早速見張所が設けられ同心たちが弥吉を見張る。出かける弥吉を忠吾とおまさが跡をつける。弥吉が入った店に様々な身なりをした男たちが入るのを見て忠吾は盗人宿だと推理するが、おまさはもう少し確かめてみないとと話し、店の中に入る。忙しくする店を手伝った結果、おまさはそこが賭け碁の集まりであることを突き止める。

 鬼平は弥吉の住処が三田寺町の大松寺の持ち物だと聞き、弥吉が賭け碁の仲間たちに近づき何かを狙っているのではと考える。ある時その弥吉の住処から武士が出てくる。同心たちが跡をつけるが特に怪しい動きもしなかった。

 実は武士の格好をしていたのは小間物屋吉野家の主人清兵衛だった。町人である彼は一度武士の格好をして街を歩いてみたいと思っており、それを弥吉が実現させてやり、清兵衛は弥吉に感謝していた。彼は婿であったため店でも軽んじられていた。三ヶ月ほど前に二人は賭け碁で知り合い意気投合していた。弥吉はそろそろ上方へ帰らなければいけないと話し、自分にも似たような観望があると話す。それは盗人になることだと言い、驚く清兵衛に頭の中だけで考える盗人であること、だから清兵衛が店の図面を描いてくれれば、と話す。

 店に戻った清兵衛だったが、妻のお里に好きなように扱われており、店の者たちもわがままな奥方に困っていた。おまさが吉野家や清兵衛のことを調べてくる。先代が3年前に亡くなりそれ以来お里の行動がひどくなって来たと話す。同心たちは弥吉が清兵衛に近づき、吉野家に押し込むつもりではないかと話す。

 またも弥吉の家から武士の姿になった清兵衛が出てくる。鬼平たちが跡をつける。清兵衛は街でゴロツキに絡まれ町人であることがバレて酷い目にあう。ゴロツキどもを鬼平が戒めるがその隙に清兵衛は逃げ帰る。弥吉が清兵衛を慰め、もらった図面でどう吉野家に盗みに入るかの話をしようとするが、気落ちした清兵衛はそのまま店に帰ってしまう。上方へ帰るという弥吉は清兵衛に別れを告げる。

 その夜、弥吉は図面をもとに吉野家へ押し入る。そして清兵衛の妻お里の部屋に忍び込み、お里の髪の毛を切る。吉野家から出て来た清兵衛を鬼平たちが待ち構えていた。弥吉がお里の髪を鬼平に見せると、鬼平は酔狂なやつだと高笑いをする。

 牢に入っていた弥吉に声が掛かる。鬼平が直に立会い、弥吉の体の縄を斬り、何処へでも好きなところへ行けと話す。

 五鉄で鬼平はおまさから、お里がおとなしくなったと話すが、鬼平は髪が伸びればどうなるかわからないと話す。釣りをしている鬼平の元へ弥吉が現れ、密偵になることを承知する。

 

 最終シリーズにふさわしい凝った作り。いつもの時間3分前にジプシーキングのエンデイングの音楽流れるし(笑 時間の経過が少し前後しているのでちょっとわかりづらいかも。時間軸で1から5まであるとすると、4から始め1、2、3、と描いて最後に5に戻る、といった感じか。

 最初に捕まった弥吉を見せ、その弥吉を珍しく忠吾が脅す。それでも密偵になることを拒否する弥吉だったが…。ラスト、死を覚悟した弥吉を前にして刀を抜いた鬼平が見事に縄だけを斬り、弥吉を自由にする。妙にカッコ良い鬼平(笑 最終シリーズだから当然か。

 ここから弥吉が捕まるまでを描くシーンとなり、少し長いが、その割に弥吉の本当の狙いがわからないのでドラマとしてはちょっともたついている感じもする。同心たちは弥吉が清兵衛と仲良くなり吉野家を狙っていると考えるが、鬼平はそれについては何も語らない。そして最後に弥吉の狙いが明らかになる。それを酔狂だと笑う鬼平

 弥吉の罪(家宅侵入罪?髪を切っているので傷害罪? 笑)を許す鬼平もカッコ良いが、友人である清兵衛を助ける行動に出た弥吉もカッコ良い。

 ラストでめでたく弥吉も密偵の仲間入りをするが、当然彼が密偵として活躍する話はないだろう(笑 金庫破りのプロの密偵が活躍する話なんて、ちょっと見てみたい気もするんだけどなぁ。