千ドルのつかいみち オー・ヘンリー ショートストーリーセレクション

●千ドルのつかいみち オー・ヘンリー ショートストーリーセレクション

 オーヘンリーの全7編からなる短編集。特に良かったものを1つ。

 

 「緑のドア」

 真の冒険者ルドルフは街を歩いている時に黒人男が歯医者のビラを配っているのを見かける。しかしルドルフが受け取ったビラには「緑のドア」とのみ書かれていた。他のビラには歯医者の宣伝文句が載っているというのに。再度男からもらったビラにも「緑のドア」と書かれていたのを見たルドルフは、近くのビルに入り、緑のドアの部屋を見つけノックする。

 中にいたのは弱っている若い女だった。3日間食事をしていないという彼女に食事を買って来て与えたルドルフは彼女からどうしてこの部屋をノックしたのか尋ねられる。ルドルフが部屋を出るとそのビルのドアは全て緑だった。黒人男の元へ行きなぜ「緑のドア」と書かれたカードを渡したのか聞いて見ると、それは芝居の宣伝ビラで、歯医者のチラシに混ぜて配っているだけだった。

 

「千ドルのつかいみち」伯父からの遺産千ドルを受け取ったジリアンの使い道は…

「詩人と農夫」小説家の書いた田舎の詩と田舎者が都会で体験した事とは…

「記憶喪失」優秀な弁護士ベルフォードが突然記憶喪失になってしまうが…

「カリオープの改心」ふさぎの虫に取り憑かれたカリオープが町で暴れ出すが…

桃源郷の避暑客」ブロードウェイにある隠れた名ホテルで過ごした男女が出会う

「金では買えないもの」若き富豪ハワードは幼馴染アリスにプロポーズをして断られる

 

 オーヘンリー短編集7冊目。さすがに著者の「やり方」がわかって来たので、オチの予想がつく話が多くなってきた。ただ上で取り上げた「緑のドア」は、まさにミステリー調で話に引き込まれた。オチもシャレが効いている。

 しかし他の作品は前述通りオチが読みやすい。「桃源郷の避暑客」に至っては、前作「マディソン街の千一夜」の中の「パレードのしくじり」と全く同じではないだろうか(笑 さすがにネタ切れ気味か。

 短編集はあと1冊。まだまだ驚かせてくれるのかな。