●389 市民ケーン 1941
贅沢の限りを尽くしたザナドゥ城に住むケーンが亡くなる。臨終の言葉「バラのつぼみ」という言葉を残して。
新聞王であったケーンの死亡のニュース映画を製作した会社が、最期の言葉「バラのつぼみ」の持つ意味を調べ始める。記者はケーンの周りにいた人々に彼の生涯のことを聞きつつ、「バラのつぼみ」の意味を尋ねるが、誰もそれについてはわからなかった。
多くの美術品骨董品が集められたザナドゥ城でそれらの鑑定が行われ、価値のない品は焼かれてしまうが、その中にあったケーンの幼少期に使っていたソリに「バラのつぼみ」と書かれていた…
タイトルもオーソンウェルズの選挙ポスターの絵柄も大変有名な作品。世界名作映画のNo.1にも選ばれる作品で子供の頃から知っていたが今回が初見。
鑑賞後ネットでこの作品の凄さを調べたが、映像テクニックや脚本の上手さが当時としては新鮮だったようだ。
映像に関しては、確かに最初の妻との食事テーブルでの会話を矢継ぎ早につないで行き、年月の経過や夫婦の愛情の変化を見せたのは見事だった。
しかしやはり脚本の上手さが素晴らしい。
最初にケーンの最期の場面〜スノードームと「バラのつぼみ」〜を見せ、次に新聞社のニュース映画でごくごく簡単にケーンの生涯を見せる。そこから、記者の取材の形で、ケーンの知り合いに彼の生涯のエピソードを回想シーンとして入れていく、という形をとっているため、ケーンの生涯を2回繰り返し見るようなことになり、映画のストーリー=ケーンの生涯をキッチリと確認することができる。
これらの取材には「バラのつぼみ」の謎解きが付加されているが、誰に聞いてもその謎が解けない、というオマケ付き。記者も諦めて映画はラストシーンを迎えるが、そこで「バラのつぼみ」の謎が映像として明かされる、という見事なオチ。
これが80年も前に作られていたとは驚くしかない。まさに映画の手本のような1本。
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