西部の男

●397 西部の男 1940

 南北戦争後、人々は西部に向かった。しかし牛追いと農民との間で対立が起きる。酒場の主人であり判事を名乗るビーンは牛追いの味方となり、酒場で裁判を行い、牛を撃った農民に縛り首の判決を出す。
 この街に馬泥棒の容疑をかけられたコールが連れられてくる。彼の乗っていた馬が街のチキンの馬だった。コールの裁判が行われようとした時、店にジェーンがやってくる。彼女は先の裁判で縛り首にされた農民の仲間だった。彼女はビーンに抗議するが、ここではビーンが法だった。彼女はコールの裁判にも文句を言うがビーンは受け付けなかった。彼女は帰っていく。コールの裁判が陪審員たちの協議に入った時、コールは店に貼ってあった女優リリーラングトリーの写真を見て、彼女のことを話し出す。彼女の猛烈なファンであるビーンはコールの話を聞く。コールはリリーの髪の毛を持っていると話し、それはエルパソにあると言う。ビーンは手紙を書いて髪の毛を送るように言えと言うが、それでも時間がかかるとコールは言う。陪審員たちの判決が有罪と出るがビーンはしばらく執行猶予とすると判決を下す。

 その時店に男が入ってくる。酒を飲むその男にコールは60ドルを返せと迫る。男はコールと殴り合いになり、コールはこの男が馬を売った男だと話すと男は銃を取り出したため、コールは男を撃ち殺す。コールとビーンは大いに酒を飲み、コールはビーンの家に泊まる。翌朝コールは馬に乗って街から去る。ビーンは髪の毛のことを思い出し彼を追いかける。だがコールはカリフォルニアに行くといい去って行く。

 その頃ジェーンの家では農家の仲間が皆街から出て行くと話していた。ジェーンと仲の良いウェイドは縛り首にされた男の仇を討とうと仲間を説得する。そこへコールが現れ、店でジェーンが彼の弁護をしてくれたことに感謝をする。ジェーンと父はコールを農家の仲間に引き込もうと夕食に誘う。翌朝去っていこうとするコールだったが、ジェーンの父がウェイドが仇を討ちに街に行ったことを告げる。コールはビーンの店へ先回りをしビーンに事情を説明する。店にやってきたウェイドたちをコールは説得しようとするが、ビーンは銃で彼らを脅す。コールは両者を和解させようとするが、ビーンは銃でウェイドたちを帰らせる。コールはビーンに農民と協力するように説得をする。ビーンはリリーの髪の毛の話を持ち出す。コールはエルパソではなく、ジェーンの家にある、谷から牛を追い出したら髪の毛を渡すと答える。

 コールはジェーンの家へ。しかしウェイドたちはコールがビーンの味方だと話しており、コールはウェイドと殴り合いになる。喧嘩後、コールはジェーンと話をし彼女の髪の毛を切らせてもらう。コールはビーンの元へ。ビーンは谷から牛を追い出していた。コールはジェーンの髪の毛をリリーのものだと言ってビーンに渡す。

 農民たちは収穫の祭りを行う。コールはジェーンと二人きりで新しい家を建てる話をしていた。その時、牛飼いたちが畑や農民たちの家に放火をし、あたりは大火事となってしまう。大騒ぎの中、ジェーンの父は牛追いたちの馬に轢かれ死んでしまう。火事がおさまり農民たちはショックを受け、皆新しい土地を求めて去っていこうとしていた。街ではビーンが街の名前を女優にちなんでラングトリーと改名したお祝いをしていた。コールはジェーンの元へ。彼女は一人で父親の葬儀を行い、皆が去っても一人でもこの地にとどまると宣言する。コールは彼女を助けようとするが、彼女はコールがビーンの協力者だと信じ、コールのことを拒否する。

 コールはビーンの元へ。火事の原因を追求するとビーンは自分が指示したと答える。コールは逮捕状を取ってくると言い、フォートデービスの保安官事務所で保安官代理となり逮捕状をもらう。その時フォートデービスの街に女優リリーが来てショーをすることになった。ビーンはチケットを買い占め、街の皆と女優のショーを見に行くことに。ビーンは街へ行き、一人で劇場へ入る。しかし舞台に出て来たのはコールだった。二人は撃ち合いになり、ビーンは撃たれる。ビーンに駆け寄ったコールは最期にビーンをリリーに会わせるため彼女の楽屋に連れて行き、リリーに会わせてやるがその場でビーンは死んでしまう。手にはコールが渡した髪の毛が握られていた。

 コールはジェーンと暮らしていた。そこへ多くの農民たちが戻って来ていた。

 

 西部劇の古典の1本と言えるのかな。しかし決定的な悪役が相手ではなく、ちょっと憎めない感じのインチキ判事ビーンが悪役。そのビーンと主人公コールとの間に芽生える不思議な友情の物語、とでも言うのか、なんとも不思議な話だった。

 自分の仲間である牛追いを味方し不当な判決もものともしない判事。一方で見たこともない女優にぞっこんであり、まるで少年のようでもある。ビーン役の俳優さんの顔はどこかで見たことがあると思ったら、「リオ・ブラボー」のロウの見張り役の爺さんなのね。

 しかし、西部劇も数多く観て来たが、農民と牛追いの対立がテーマなものは初めて観た気がする。あんなに広い土地なんだからなんとでもなりそうだと思うのは日本人だからなんだろうなぁ。アメリカ西部開拓時代には色々あったんだねぇ。