●402 健さん 2016
チャン・イーモウ監督の「単騎、千里を走る」で高倉健と共演したチューリンが健さんを偲んで日本にやって来るところからスタート。その後は健さんと共に仕事をした監督や俳優が健さんの思い出をインタビューで語る。
任侠映画に出ていた頃。そして結婚、私生活。自宅の全焼、離婚、元妻の急死。大阿闍梨からの言葉、東映との決別。母親の死。遺作となった映画のコピー。構想されていた健さんの映画の数々。健さんが好きだった言葉「寒青」。
チューリンが健さんの足跡を辿る映画になるのかと思いきや、冒頭以降はほぼインタビューで構成されていた。多くに人がインタビューに答えていたが、心に残ったものをいくつか。
八甲田山に関する記事をバックに流れる、健さんの言葉。『何をしたかではなく、何をなそうとしたか。このことの他に近頃もう一つ気になるのは、何をしたかではなく、何のためにそれをしたか』
ポールシュレイダーは、ブルースリー死後のアジアの新しいタイプのアクションスターとして健さんを考えていた。
映画評論家川本三郎は、三船敏郎は侍、石原裕次郎は青年、中村錦之助も侍、勝新太郎はアウトロー、市川雷蔵は青年プラス侍、渥美清はコメディアン、しかし健さんは若者であり侍でありアウトローである、3つの要素を持っていたという点で他の俳優とは大きく異なると論じる。
さらに川本は「幸福の黄色いハンカチ」について、戦って傷だらけになった健さんを一度家に帰してあげよう、という山田洋次監督の想いだったのではと語る。
マイケルダグラスは、健さんは自然に存在するという不思議な能力があった、自分の存在を信じること、自分自身を理解する大切さを健さんから学んだと語る。
ヤンデボンは、健さんが自分の演技を、なぜそうしたかきちんと説明出来たと語り、「ブラックレイン」での健さんとダグラスが蕎麦を食べるシーンを引き合いに出す。
インタビューを聞いていて改めて健さんの偉大さが感じられた。上記した心に残った言葉があまりにも凄すぎる。
NHKで健さんの遺作となった映画に密着した番組を未だにレコーダーに残してあり、時々観るのだが、健さんについてのドキュメントは本当に観ていて飽きない。健さんの人柄なんだろうと思う。この映画でも健さんのことを話すみなさんの楽しげなこと。周りにいる皆に愛された人だったんだなぁとつくづくと思う。
あぁ久しぶりに健さんの映画が観たくなった。
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