家康(三) 長篠の戦い 安部龍太郎

●家康(三) 長篠の戦い 安部龍太郎

 前作に続き3巻目。章立ては、再起への道、信玄死す、勝頼南下、長篠の戦い、戦の後、伯父信元。

 前作最後で、三方ヶ原の戦いで敗れた家康。武田の動きを恐れるが、武田側から和睦の申し入れが行われるが家康は拒否、信玄の身に何かあったのかと考え始める。そして信玄の死。それでも勝頼が信玄の後を受け、徳川の地へ攻め入って来て、長篠の戦いが起こる。ラストは信長からの信元への自害命令。

 

 本作の見所は、「戦の後」の章。長篠の戦いの後の戦場のリアルが描かれる。対武田との戦いに勝った家康だったが、そこに笑顔はない。さらに信長からは、三河を取り上げられてしまう。そこには信長の目論見があった。

 「戦国時代モノ」の本では、いろいろな戦いを勉強したが、戦いの後のことまで書いたものはなかった。戦場に横たわる多くの死体の描写があまりにリアル。そしてその後始末まで。そうだよなぁ、1500年代後半だけで多くの戦があったが、ひとつひとつの戦でこんなことが行われていたんだと思うと寒気がしてくる。

 しかしその後信長から世界情勢と日本の国内情勢についての話を聞いて驚く家康。どこまでがノンフィクションなのかわからないが、信長の野望〜ゲームみたいだ(笑 〜のスゴい事。先見の明とはまさにこれ。現代の組織でも同じことが言えるのかも。組織の管理者がどれだけ先を見通して事を成すか、という事だろう。

 そして最終章の水野信元への処遇。これも信長の非情さを物語る一方で、家康の苦悩も手に取るようにわかる。これが戦国時代の怖さなんだと実感。

 

 物語の年数もだいぶ進んで来ている。あくまで主人公は家康だが、その家康に大きな影響力を持っている信長の最期まで後数年のところまで来た。さて次なる話は…。