日曜の夜は出たくない 倉知淳

●日曜の夜は出たくない 倉知淳

 カズレーザーがオススメの本という事で読んでみた。例の「五十円玉二十枚の謎」がらみでデビューした作家さんらしい。

 7編プラスαある短編集。

 とにかく話の組み立てが独特であり、思わず引き込まれてしまう感じ。短編ごとに様々なシチュエーションがあり楽しめる。さらに小説の中でも書かれているが、それぞれの短編の殺人方法が全て異なったり、最後の最後でマニアックすぎる暗号が出て来たり。さらにさらにどんでん返しまである。

 まず話の組みたてについて。最初の短編「空中散歩者の最期」ではSFチックな夢の話から始まるので、そっち系の小説なのかと思いきや、場面は一転、刑事たちの捜査場面に移る。かと思うと次の「約束」では、少女と公園にいるおじさんの話になったり。さらに3つ目の短編では、どこだかわからない方言を使った昔話から話はスタートし、その後若者二人のナンパ話へ展開していく。

 ホント話の作り方が上手いというか何というか。名探偵役の猫丸先輩も常に登場。上記した様々なシチュエーションの話でありながら、そこは統一されており、こちらも安心して読むことができる。

 ただこの探偵がいわゆる安楽椅子型のため、推理にちょっと無理があるなぁと思ったりもするが、そこは宿命であり仕方なしか。

 さらに言えば、小説のラストで明かされるマニアックすぎる仕掛け、暗号はまだしも、その後のどんでん返しはやり過ぎの感じがする。でもまぁこの頃は「新本格」が動き出した頃だから仕方ないのか。

 とりあえず同じ猫丸先輩シリーズがまだ何冊もあるようなので、そちらも読んでみよう。