●過ぎ行く風はみどり色 倉知淳
仕事を隠居した老人が屋敷の離れで殺害される。家にいたのは、老人の子供とその家族、怪しい霊媒師、霊媒師を偽物と疑う大学院生。霊媒師が殺された老人の霊を呼び出す降霊会を開くが、霊媒師が殺されてしまう。そして最後に謎解きをしていた大学院生も殺され…。
久しぶりに推理小説の長編をガッツリ読んだ。6月の読んだ「顔のない男」も長編だったが、あちらはどちらかというと短編集が長編のテイを為しているといった感じだったので。
屋敷で起こる密室?殺人、降霊の場で起きる不可能殺人、そして謎解きの場で起きる殺人、と3件の事件が発生。いわゆる古いタイプのミステリーの王道。しかも超心理学というワードまで出てきて、そちらの説明にも文章が割かれている。中学生の頃の自分だったら、間違いなくハマってしまう(笑
さらに前作でも作者がみせた凝った作りは健在。この小説の一番のトリック?が明かされる場面は、まさに推理小説の醍醐味といったところか。ただ前作同様、全体的にちょっと無理のある推理や展開もあるが、このトリックの驚きがそれをカバーしている。小説の章立て?が怪しいので最初からそこが気にはなっていたが、見事に騙された感じだが、不快感はない。
猫丸探偵のキャラも相変わらずで面白い。続編を読んでみたくなるのは仕方なし。
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