我等の生涯の最良の年

●412 我等の生涯の最良の年 1946

 第二次世界大戦が終わり、復員兵たちが故郷へ戻る。アル、フレッド、ホーマーの3人は同じ飛行機に乗り合わせて知り合いになり、同じタクシーで家へ戻る。途中、ホーマーは叔父ブッチがやっているバーを紹介し、いつか皆で酒を飲もうと誘う。

 3人はそれぞれの家へ帰る。アルは妻と2人の子供に迎えられるが、息子は原爆のことを気にしており、娘も家政学を学び成長している姿を見て戸惑う。フレッドは新婚だったが、妻マリーは夜の仕事をしていると両親から聞く。ホーマーは戦争での怪我で両手を失い義手になっていたため、恋人ウィルマとの再会を素直に喜べないでいた。

 アルは妻と娘を誘い夜の街へ飲みに出かける。ホーマーは家族やウィルマの父やウィルマと時を過ごすが、彼の義手を見る皆の視線が辛く家を飛び出してブッチの店へ。そこにはフレッドがおり、そこへアルも妻と娘を連れてやってくる。3人は大いに酒を飲む。その夜、店を出たフレッドはアルの家へ泊めてもらうことに。フレッドは戦争の悪夢を見てうなされ、アルの娘ペギーが彼をなだめる。

 翌朝フレッドは妻マリーのマンションへ。ペギーが出勤ついでに彼を送っていく。

 アルに電話が入り、勤めていた銀行から復帰を打診される。フレッドは以前勤めていた薬局に行くが店は大半が化粧品売り場に変わっていた。フレッドは店のオーナーから復帰を打診されるが断る。アルは銀行へ行き話を聞く。頭取はアルを復員兵援護のための小口融資係として採用するつもりだと話し、アルは承諾する。

 フレッドの妻マリーは彼に軍服を着せ皆に自慢したがるが、彼はあまり気乗りがしなかった。ホーマーの恋人ウィルマは彼のことを気にかけるが、ホーマーはウィルマにも冷たい態度を取ってしまう。彼は父の助けがなければパジャマにも着替えられない自分を情けなく思っていた。

 フレッドの妻マリーが外食のため着飾っているところへフレッドが帰ってきて、自宅で食事をすると話す。仕事も見つからず金がないことを正直に話すが、マリーは怒ってしまう。フレッドは結局勤めていた薬局に勤め始めるが、以前部下だったマーケルの部下になってしまう。

 アルはある復員兵の相談を受け、6000ドルの融資を決める。しかし上司は甘いと指摘、アルは以後気をつけると謝罪する。フレッドは無難に店員の仕事をしていた。そこへペギーが様子を見にやってくる。フレッドは彼女を休憩時間に昼食に誘う。彼女を送る際にフレッドはペギーにキスをする。

 フレッドが家に帰るとマリーが出かける準備をしていた。ペギーからダブルデートに誘われたと話す。アルはペギーからフレッドのことが好きなことを告げられるが、諦めるためにダブルデートをするのだと聞く。

 アルは妻ミリーと復職記念のパーティへ出席する。スピーチを求められ失言しそうになるが、ミリーの機転で無事スピーチを終わらせる。

 ダブルデートをしていたペギーは化粧室でマリーからフレッドが金がないことを非難するのを聞いてしまう。家に帰ったペギーは正直に自分の気持ちを両親に伝える。翌日アルはフレッドを呼び出し、二度とペギーに会わないように約束させる。フレッドはペギーに電話をする。電話を受けたペギーもフレッドのことは忘れると母親に話す。

 フレッドの店にホーマーがやってくる。偶然居合わせた客がホーマーの義手を見て戦争は誤りだったと話し、ホーマーとケンカになる。中に入ったフレッドはその客を殴ってしまい、店をクビになる。店を出た二人、フレッドはホーマーに恋人とのことを尋ね、ホーマーにすぐに恋人にプロポーズするようにアドバイスする。

 遺影に帰ったホーマーを恋人ウィルマが訪ねてくる。彼女は両親から明日この街から離れるように言われていると話す。ホーマーは自分が寝る際の様子をウィルマに見せる。彼女はそれでも愛していると伝え、ホーマーもそれに応える。

 フレッドは職探しをし家に帰る。そこにはマリーの昔の知り合いの男がいた。マリーは離婚したいと話しフレッドは家を出て行くと告げる。彼は両親に街を離れると告げ空港へ。そこには廃棄された軍用機があり、フレッドはそれに乗り込む。それを注意した作業者に仕事はあるかと訪ね、そこで仕事をすることに。

 ホーマーとウィルマの結婚式が行われる。アルもフレッドも呼ばれていた。フレッドはペギーと再会する。式が始まり誓いの言葉を述べる時、フレッドとペギーは見つめあい、フレッドはペギーにプロポーズをし、ペギーも受け入れる。

 

 アカデミー賞9部門を受賞した名作、らしいが初見。正直タイトルを見てもピンとこなかったし、出演していた俳優さんも見覚えのある顔は一人もいなかった。しかし確かに名作。170分強の長い映画だが、ダラけることもなく、見ごたえのあるストーリー展開だった。

 ストーリーは単純で復員してきた3人の男たちの生活を描いたものであり、予想できる展開ばかりだが、仕事ととの関わりや家族や妻、恋人との関わりを多彩なエピソードで描いている。人間ドラマも見応えがあるが、反戦映画としても描かれており、製作は1946年で終戦翌年にこんな映画が作られていることに驚きしかない。

 不幸な部分もあるが、最終的には大団円を迎える、戦争後を描きつつ優しいエンディングを迎える名作。