陽のあたる場所

●416 陽のあたる場所 1951

 ジョージはヒッチハイクをして叔父の経営する水着製作会社へやってくる。秘書が家にいる叔父に連絡し話をすることができ、家に招かれる。ジョージの家は貧しく、伝道に熱心な母に育てられた。叔父はホテルで働いていたジョージと偶然出会い、彼を誘ったのだった。叔父は自分の会社の工場で働くようジョージに勧め彼も受け入れる。

 ジョージは翌日から工場で働く。女性従業員の多いこの会社では職場恋愛は禁止だった。しかしジョージは映画館で偶然隣り合わせになったアリスと付き合い始める。そして一夜を共にする仲になる。

 ある日叔父が工場に来てジョージの働きぶりを見る。叔父はジョージを昇進させることにし、家のパーティにも招く。アリスはその日がジョージの誕生日であることから心配するが、彼はパーティを抜け出して帰ってくると約束する。ジョージはパーティで美しい令嬢アンジェラと出会い恋に落ちる。夜遅く帰ったジョージをアリスは責める。さらに妊娠したことを告げる。

 困ったジョージだったが、アンジェラからの誘いを受け彼女の家のパーティに参加する。そこで二人はお互いの気持ちを確かめ合う。アンジェラはジョージを別荘に誘う。

 ジョージはアリスを医者に診せる。しかし彼女は堕胎を望まずジョージに結婚を迫り来週離れた土地で結婚をしようと言いジョージも了承する。家に帰ったジョージは死亡事故が増加しているというニュースを聞く。その時アンジェラがやって来て来週別荘で両親に会って欲しいと言われる。ジョージはアリスに嘘をつきアンジェラとの約束を優先する。

 ジョージはアビ湖でアンジェラとデートする。そこでアンジェラから湖でボートの水死事故があったことを聞く。その頃アリスは新聞でアンジェラとジョージがあっていることを知る。アンジェラの別荘で過ごすジョージにアリスから電話が入る。彼女は別荘側のバス停にいるのですぐ来て欲しい、来なければ別荘に乗り込むと脅す。ジョージは母親の具合が悪くなったと嘘をつき、アリスの元へ。

 アリスはジョージに明日結婚してとせがむ。翌日裁判所へ結婚の手続きに行くが、休日のため休みだった。ジョージはアリスをアビ湖へのハネムーンに誘う。そして車がガス欠だと嘘をつきボートに乗る。ボートに乗る際も偽名を使う。ボートで二人は話し合う。しかしアリスの言葉にジョージが怒りアリスはボートで立ち上がる。バランスを失いボートは転覆、ジョージは一人岸に泳ぎ着き、車でアンジェラの別荘へ。

 その頃アリスの死体が見つかり警察の捜査が始まる。証言からジョージは逮捕される。ジョージの叔父が良い弁護士をつけ、裁判が始まる。様々な証言がジョージの不利を認めていた。判決は有罪となる。牢にいるジョージにアンジェラや母親が会いに来る。そしてジョージの刑が執行される。

 

 何の前情報もなく観たがちょっと驚いた。ストーリーは貧しい青年が恋人を裏切り裕福で綺麗な女性に惹かれ、恋人を殺してしまうという定番のもの。映画のストーリーもまさにその通りに進行する。この映画がこの定番のオリジナルなのかしら?

 主人公の母親が伝道師という設定が最初から示され、それがどう関わって来るのかと思っていたが、ラスト自分の罪を認めるところで話がつながる。定番であるストーリーよりもこの部分がこの映画のテーマなんだろうか。

 2時間の映画だが、1時間経過したところでジョージとアンジェラの仲にアリスが気づく。あと1時間をどう使うのかと思っていたら、30分でアリスの死とジョージの逮捕、最後の30分は裁判とその後に使われる。ヒッチコックであれば1時間30分で終わっているし、犯罪ものとしての映画でも同じように1時間半で終わっていただろう。つまりラスト30分がテーマにつながる部分だったということだろう。

 モンゴメリー・クリフトは「私は告白する」で先月観たばかり。悩める主人公がピッタリ。エリザベス・テイラーも何本か観ているが、この映画が少女役から脱皮した直後の1本だったらしい。撮影時は17歳だったらしいが、とてもその年齢には見えない。