競作 五十円玉二十枚の謎

●競作 五十円玉二十枚の謎

 作家若竹七海が学生時代に実際にバイト先の本屋で体験した謎を提示、推理作家や一般公募もされた中から、優秀作を収めた一冊。

 ここまで読んできた猫丸先輩シリーズがおもしろく、作家倉知淳さんのデビューのきっかけとなった話を読んでみたいと思ったので。

 

 公募された中から最優秀作を初めとする6作と推理作家の6作、おまけでいしいひさいちの漫画もある。ただやはりこの謎は現実の謎であり、プロアマ問わず相当苦労した感じが伺える。楽屋オチやトリックのダブり感がひどく、やはり現実の謎は小説の中のように上手くは解決しないんだなぁ、というのが正直な感想。

 

 その中でも倉知淳さんは、デビュー前の作品にもかかわらず、「あの」猫丸先輩がこの謎を解いており、しかもラストではそれで自分自身で否定するというオチまでついていて、さすがだと思わせる。

 

 2年前に読んだ北村薫がこの謎に取り組んだ本を読んだが、時間をかけただけあって(この本の12年後に刊行された)、さすがの解決だったと今更ながら感じてしまう。