●刑事スタスキー&ハッチ 第1シリーズ #07 子供を撃った警官
あらすじ
スタハチが強盗事件の現場へ。スタスキーが犯人の一人を射殺するが、それは14歳の少年だった。現場の目撃者の証言もあり、スタスキーは査問委員会にかけられ、その様子はTV中継される。スタスキーの正当防衛が認められるが、TVを見ていた男がスタスキーの辞表を要求、さもなければ警官を殺すと脅してくる…
ストーリー
ハッチの家にスタスキーがやってくる。女友達モリーがハッチにそれを知らせる。スタスキーは勝手に冷蔵庫で食べ物を漁っていた。ハッチはそんなスタスキーの健康を心配する。モリーを見送り二人は強盗現場に急行する。
着いた瞬間に警官が撃たれ負傷。ハッチが警官を確保し二人は現場へ突入しようとするが、犯人2人は店から逃走、スタスキーが追いかける。威嚇射撃をしたスタスキーに対し犯人の1人が撃ち返そうとしたため、スタスキーは犯人を撃つ。もう1人を追いかけるが取り逃がしてしまう。
撃たれた犯人の元へハッチや警官、野次馬たちが集まってくる。警官が撃たれた犯人の覆面を取り去ると、犯人は少年で、すでに死亡していた。呆然とするスタスキーに野次馬の一人が「ロニーだ。子供を殺しやがった。抵抗をやめて両手を挙げたのに撃ったんだ。俺はちゃんと見てたぞ」と叫ぶ。そこへロニーの母親もやって来て、撃たれた子供を見て泣き叫ぶ。
署に戻った二人。スタスキーは幹部から他に方法はなかったのかとしつこく問われる。スタスキーは後ろに通行人がいたため犯人が撃てば誰かに当たったと答える。そこへドビー主任がやって来て、野次馬や新聞が騒ぐため、署長室が「悲劇に関する全てを明らかにしなければならない。よって検視査問委員会の全内容をTV中継を含む全マスコミに公開する」と言ってきたと話す。ハッチは激怒するが、スタスキーは話を受け入れる。ドビー主任は幹部の新聞発表に付き添う。部屋に残された二人。ハッチはスタスキーを慰めるが、スタスキーは「14の子供を殺したことに変わりはない」と話す。
検視査問委員会が開かれる。
その場でローニーの共犯の手がかりがつかめたことがドビー主任から報告される。22歳の白人青年、逮捕歴4回のジョゼフ・トラメイン、ロニーの家のそばに住んでいて唯一の友人だったとのこと。
ロニーの母親も参列する中、現場にいた野次馬が証言する。老婆に続き、現場でスタスキーをなじった男タイディングも証言する。彼はロニーが抵抗するつもりがあったかどうかを確認されると、現場ではあぁ言ったが今考えるとそうではなく刑事さんを撃つつもりだったんだと証言、ロニーの母親にも謝罪する。
このTV中継を見ていた男が警察に電話をしてくる。「お前たち警官は人殺しと同じだ。今にわかるから楽しみに待ってろ。もしスタスキーを無罪にしやがったらこの俺様が黙っちゃいねぇぞ」「お前ら警官は人を殺して勲章をもらってるんだ。償いをさせてやる。覚えてろよ」彼の電話のそばには新聞記事があった。
査問委員会の判決が出る。スタスキーは正当防衛が認められ、さらにその行動は賞賛されるべきだとの言葉もあった。
男はライフルを持ち出し弾を込める。
スタハチはヒョロ松の店へ行き、ロニーの相棒だったトラメインの写真を見せるが、ヒョロ松は情報は集まらないだろうと話す。ヒョロ松は「アンタのやったことは間違ってねぇんだ。あんなガキ殺したって気にすることはねぇさ」と話すが、スタスキーは「ヒョロ松、14といやぁこれからが花なんだ」と言って去っていく。
スタハチはロニーの葬儀が行われている家へ。スタスキーは一人で家に向かい、ロニーの母親に改めて謝罪をし、ロニーは1年前から悪い友人の影響で道を誤った、そいつをあげてみせると約束し、力を貸して欲しい、何より悲劇を繰り返さないために、と話し、トラメインの写真を見せる。ロニーの母親は承諾し、家に集まった皆もスタスキーにトラメインの友人の情報を話す。
その頃、電話の男は偽の通報で警官を呼び出し、ビルの屋上から警官を狙撃し、現場にライフルと「スタスキーヘ 1人目」というメモを残す。
スタハチはドビー主任とともに男の脅迫電話の録音を聴いていた。その電話の20分後に警官が射殺されていた。さらに男は電話をかけて来ており、スタスキーが辞職し新聞発表をしない限り、何人でも警官を殺すと脅してきた。スタスキーは自分のせいで何の関係もない警官が殺されたことにショックを受ける。ドビー主任は録音テープを言語学者に分析してもらった結果、犯人は前科者で白人男性、50歳前後、出身は東部。その結果トラメインとは別人だと判明する。ハッチは犯人がロニーやトラメインのことを知っているのではと推測する。主任は朝刊発行までの11時間以内に犯人をあげなくてはならないと話す。スタスキーは自分が辞職すれば良いと話すが、主任は彼を叱り、警察はテロリストの言いなりにはならないと宣言する。スタスキーはなおも食い下がるが、ハッチも手がかりはあるから犯人を捕まえれば良いとスタスキーを説得する。主任も二人にハッパをかける。
スタハチはヒョロ松の店へ。彼からトラメインが女性客が多くいる店でチョコを食いながら張り込んで、女がトイレに行くのを待ってバッグを盗んでいると話す。それを聴いたハッチは、強盗をして金があるはずなのに、盗みをしてチョコを食ってるということは、ペイ中だと推理、売人のセシルを当たることに。
二人は早速セシルの家へ行き、トラメインのヤサを聞き出す。そしてトラメインを見つけるが車に邪魔され逃してしまう。
翌朝新聞にスタスキーの辞表の件が載っていないことを確認した男は次の警官を狙う。スタンドのトイレに赤ん坊が捨ててあるとの通報を受け確認に向かった警官が爆弾でやられてしまう。スタハチは現場に向かいドビー主任からまた男から電話があったことを聞く。その場で遺体の運搬の手伝いをしようとしたスタスキーだったが、警官に断られてしまう。スタスキーはまたもショックを受ける。
男はラジオを聴いていたが、爆破事件の詳細が報告されずイラついていた。
スタスキーはドビー主任に辞表を提出する。それでも主任は辞表を受け付けず、警察は関連する事件発表は一切しないと話す。怒ったスタスキーは部屋を出て行こうとするが、主任は、お前の気持ちもわかるが、男なら踏ん張ってみろと檄を飛ばす。
部屋を出たスタスキーは警官が2人目の犠牲者ジャックのカミさんへのカンパをしているのを見かけ金を出そうとするが、やはり断られる。それを聴いたハッチは激怒する。もう一人の警官が、聞き逃してやってくれ、ヤツは警察学校で同期だったんだと話す。そこへドビー主任がきて、トラメインが4番通りのスーパーに現れたと告げる。
スタハチはスーパーで買い物をしていたトラメインを逮捕し、取り調べをする。何も答えようとないトラメインに腹を立てたスタスキーが彼に手をあげようとしたのをハッチが食い止める。そしてハッチの言葉でトラメインは、電話の男がロニーの麻薬の客だったのではない、だから名前はわからないと話す。
その時男からまた電話がかかる。スタスキーが直接電話で対応し、犯人を挑発するが犯人は乗ってこず、辞表発表を1時間以内にTVで流さなければ、警官の家族を殺すと脅し電話を切る。
男からの電話を何度も聞いていたハッチが最初の電話で犯人が言葉に詰まったことから、犯人は過去にロニーのようにスタスキーに家族を殺されたことがある人物ではないかと推理、マッキンレー高校の事件を思い出す。スタハチが最初に当たった事件で高校生が麻薬の売人をしていた事件で犯人の息子は刑務所で刺殺されていた。スタスキーはその息子からプルドルムという姓で、息子がゲイリー、その父親で前科者の名前を調べさせる。父親は15年刑務所にいて出所したばかりだが、その前に息子が刑務所に入り刺殺されたため、スタスキーに恨みを持ったのだった。調査部により犯人プルドルムの住所がわかりスタハチへ家へ。しかし男は買い物へ出かけており、家が捜索されているのを見て逃げ出す。ハッチはライフルの弾を発見、プルドルムが犯人であることを確信する。
その時プルドルムから電話がかかってくる。スタスキーはお前の顔も名前も判明している、TVですぐに流れると脅し、サシの勝負を挑む。プルドルムは20分後、動物園跡を指定してくる。ただし一人でという条件で。もし一人でなければスクールバスを爆破すると脅してくる。
スタスキーはハッチにも行き先を言わずに行こうとするが、ハッチが止める。しかしスタスキーはスクールバスの件を持ち出し、一人で動物園跡へ。ハッチは現場に来ていたパトカーに乗りスタスキーを追い、動物園跡へ。
ひとりで動物園跡へ入ったスタスキーは園内をゆっくり歩く。そんなスタスキーをプルドルムがライフルで狙う。そこへハッチが間に合いスタスキーに声をかけ助ける。
銃撃戦になりスタスキーはプルドルムを撃つ。観念したプルドルムはスタスキー撃つように挑発、しかしスタスキーは挑発には乗らなかった。
ハッチの家。スタスキーがロニーの母親に教わったという栄養ドリンクを作り、皆に飲ませる。
今回の登場人物
ハッチの女友達モリー
強盗事件の犯人2人組(手前がロリー、奥がトラメイン) 右 撃たれたロリー
左 現場で騒ぐタイディング 右ロリーの母親ユーニス
警察幹部コリンズ
検視査問委員会でのタイディングとロリーの母親ユーニス
脅迫電話をかけるプルドルム
プルドルムの家にあった新聞の切り抜き(彼の息子ゲイリーだと思われる)
脅迫電話を受ける警官
スタスキーの正当防衛を認める検視査問委員会議長コロナー
プルドルムに射殺された1人目の警官ティンカー
麻薬の売人セシル
プルドルムに殺された2人目の警官ジャック
2人目の犠牲者ジャックの警察学校での同期(ハッチに詰め寄られている)
スタスキーを励ます警官
犯人の情報を調査した警官がスタスキーに声をかける
「お前の味方は大勢いるからな。頑張れよ」
スタスキーの女友達?
今回の事件現場
強盗現場に駆けつけたスタハチ
サインでハッチと会話するスタさん
珍しくライフルを撃つハッチ
今回の重要シーン
査問委員会にかけられるシーンをプレイバック
犯人を追いかけ、空に向かって威嚇射撃するスタさん
ロリーの挙動 (1)刑事に気づき振り返り (2)銃を構え
(3)スタさんを撃とうする (4)スタさんがロリーを投げ飛ばす
今回の査問委員会
珍しくスーツ姿のスタハチ
今回のヒョロ松
事件で落ち込むスタさんに言葉をかけるヒョロ松とそれに答えるスタさん
今回のドビー主任
落ち込むスタさんに檄を飛ばし、ハッチにお礼を言われるドビー主任(小さくガッツポーズをしている)
辞表を持ってきたスタさんに再度檄を飛ばすドビー主任
今回の取り調べ
強盗事件の犯人の片割れトラメインを取り調べるが、何も答えないトラメインに激怒するスタさんとそれを止めるハッチ
今回のスタハチの朝食
ハッチの家の冷蔵庫を漁りピザとビールで朝飯を済まそうとするスタさん
一方、健康ドリンクを作るハッチ
冷蔵庫からピザとビールを取り出し、台所に飛び乗るスタさん。それを見たハッチが声をかける
ハ「たいした朝飯だな。冷えたピザにビールとは」
ス「これが独りもんの定食」
ス「お前さん毎朝特別に何飲んでんだ」
ハ「ヤギのミルクに、はちみつをたっぷり、海藻に、黄身、乾燥レバー、それにビタミンを中心とした栄養剤いろいろさ」
この後、今回最高のお笑いシーンの場面となる
今回のお笑いシーン
モリーが別れ際にスタさんに声をかける
モ「ねぇ、今度来たらまた寄るって言っといて。アナタのパートナーって噂とは大違いね」
ス「噂って?」
モ「そうよ、強いの。アナタのパートナーのスタスキーって最高」
ス「おい、スタスキーは俺で、ヤツは…」
モ「あら、そうなの。ダメ男はアナタだったの?」
呆然とするスタさん
落ち込むスタスキーはハッチの作った特製ジュースを飲むことに。彼が一気飲みをしたタイミングでモリーが戻って来て一言、「どう、上手く行った?」それを聞いたスタスキーが一言「元気が出て来たら責任とってくれよ」
左 戻ってきたモリー 右 最後のセリフを言うスタさん
今回のまとめ
警官が黒人少年を正当防衛とはいえ射殺する、というショッキングな話。現代ならば間違いなく大きなニュースになる事件だろう。そんな話をどう扱うのかと思いながら観ていたが、現場で騒いだ証言者がキチンと正直な証言をしてスタさんの正当防衛が認められる。さらにスタさんが死んだ少年の家の葬儀へ出向き、母親と会話、事件への協力も取り付けるという形でこの件は決着がつく。
それでも別の形でスタさんへの試練が続く。TVでニュースを知った男がスタさんの辞職を求めて警官を殺し始めるため。スタさんは辞表を提出しようとするが、ドビー主任がそれを止め、逆に檄を飛ばす。どちらも辛い立場であり、スタハチには珍しい設定のシーン。
全体的に重い話であり、元気と笑いのスタハチでは珍しい話となっている。そのため冒頭とラストのハッチの家での会話が救い。見事なお笑いとなっている。
余談。今回は特に登場人物の名前が不明な場合が多かった。事件直後ドビー主任の部屋で話す警察幹部、査問委員会の議長?、ロニーの母親、最後に突然出てくるスタさんの女友達。今回もエンディングの配役の名前をネットで調べてなんとかわかったものを記載した。驚いたのは、射殺されたロニーの俳優名やスタさんの女友達の俳優名が登場しなかったこと。その代わりに査問委員会でちょっとだけ登場した証言者の女性の名前はあったり。ロニーはおそらく子役だから仕方ないだろうが、ラストに出てくるスタさんの女友達役はアドリブで出演したのかしら?
余談2。ロニーに威嚇射撃をするスタさんのシーン、ドラマのオープニングで登場する場面だと思うが、このシーズンのものではなかった。後のシーズンのオープニングでスタさんを紹介する場面で使用されたものだろう、記憶が確かならば。