駅馬車

●421 駅馬車 1939

 騎兵隊の駐屯地にアパッチのジェロニモが現れたと情報が入り、さらにローズバーグからの急報が入る。通信が途中で途絶え、一言「ジェロニモ」とだけあった。

 トントの街に駅馬車が到着、乗客のマロニー大尉夫人は身籠っていたが、次の駅で夫と会うつもりだった。そんな彼女を男が見つめていた。男は悪名高いギャンブラー、ハットフィールドだった。

 駅馬車の御者は保安官カーリーに駅馬車の護衛を依頼するが、保安官は脱獄囚リンゴの捜索で手一杯だった。リンゴはプラマー兄弟へ復讐するつもりだった。兄弟の証言でリンゴは有罪となっており、兄弟はリンゴの仲間をローズバーグから追い払っていた。それを聞いた保安官はリンゴがローズバーグに現れると踏み、駅馬車の護衛を買って出る。

 駅馬車が運んで来た給料5万ドルを銀行の頭取ゲートウッドは受け取っていた。

 街ではブーン医師が家主から追い出され、娼婦ダラスは婦人同盟から街から出るように言われていた。酒飲みである医師は最後の一杯を飲みにバーへ。そこで酒の行商人ピーコックと出会う。

 駅馬車は乗客を乗せる。客は、マロニー夫人、ブーン医師、娼婦ダラス、酒行商人ピーコック。駅馬車が出発しようとしたところへ騎兵隊が来て電信不通のためローズバーグへの書簡の運搬を依頼、次の駅までの護衛を申し出る。次の駅以降は別の隊が護衛することに。そこへギャンブラー、ハットフィールドが来て客として乗車することに。さらに町外れで銀行頭取ゲートウッドも乗車する。保安官は頭取がなぜ街外れから乗車したのか気になっていた。

 駅馬車がさらに進むと一人の男が乗車を求めてくる。それはリンゴだった。保安官は彼の銃を預かり乗車させることに。

 駅馬車は最初の駅、ドライフォークへ。しかしそこに騎兵隊はおらず、マロニー夫人の夫の大尉もアパッチ追撃のため、次の駅であるアパッチウェルズへ向かっていた。ここまで護衛して来た騎兵隊はここで引き返すことになり、駅馬車は騎兵隊の護衛なしでこの先を進むことに。乗客たちはアパッチを恐れ、引き返すか先に進むかを迫られる。相談の結果、先へ進むことに。

 駅で休む間、娼婦ダラスは皆から煙たがれるが、一人リンゴだけは彼女に寄り添う。

 駅馬車は騎兵隊と別れ単独で次の駅へ向かう。途中保安官は御者と話をする。御者はリンゴとプラマー兄弟を戦わせればと提案するが、保安官は3対1では勝てる保証はないと言い、リンゴの父親とは牧童仲間だったこと、リンゴを逮捕する方が彼のためであることを話す。

 駅馬車は次の駅アパッチウェルズに到着。しかしここにも騎兵隊はおらず、駅の主人の話では、騎兵隊はアパッチと戦闘をし、ローズバーグへ向かった、大尉は負傷しているとのことだった。それを聞いたマロニー夫人は倒れてしまう。さらに産気づく。酔っていたブーン医師はコーヒーを大量に飲むことで酔いを覚まし、マロニー夫人の出産に立ち会う。その夜、駅にいたメキシコ人の牧童たちが逃げ出してしまう。夫人は無事赤ちゃんを出産、男たちは無事仕事を終えたブーン医師に乾杯する。その夜リンゴはダラスにプロポーズするが、返事は聞けなかった。

 翌朝駅の主人の妻が馬とともに逃げたのが見つかる。主人はアパッチが襲ってくるのではないかと恐る。頭取は早く出発すべきだと主張するが、医師は出産した夫人のためしばらく休ませるべきだと主張。皆が話し合いをする中、リンゴはダラスにプロポーズの返事を聞きに行く。そこでダラスは復讐はやめて逃げて欲しいと懇願、リンゴは逃げることを決意し、駅から去ろうとするが、丘の上のアパッチの狼煙を発見する。

 皆で急いで駅馬車に乗り込み、次の駅リーズフェリーを目指すことに。リーズフェリーに無事に到着するが、駅は焼かれ渡し舟も焼かれていた。馬車に大木を取り付けなんとか川を渡り、最終目的地ローズバーグへ。

 ローズバーグが間近に迫り一安心したその時、アパッチが駅馬車を襲う。男たちは銃で応戦するが、御者と酒行商人が負傷する。さらに銃の弾も尽きてしまう。最後の1発になった銃を確認したハットフィールドはその1発でマロニー夫人のことを撃とうとするが、アパッチに撃たれ死んでしまう。絶体絶命だと思ったその時、騎兵隊の突撃ラッパが聞こえ、駅馬車は助けられる。

 駅馬車は無事にローズバーグへ。プラマー兄弟たちもリンゴの到着を知り集まる。銀行頭取は復旧した電信で、現金横領の罪で捕まる。リンゴは保安官に捕まる覚悟をしていたが、10分だけ待って欲しいという。保安官はライフルをリンゴに返すが、リンゴは3発だけ弾を隠し持っていた。リンゴはダラスを家へ送り、戦いの場へ。

 プラマー兄弟の待つ酒場へブーン医師が現れる。そこへ御者があと数分後にリンゴが来ることを告げる。店を出ようとする兄弟に医師はショットガンは置いていくように、置かなければ殺人罪で訴えると話すと、兄弟はショットガンを置き、通りへ出ていく。

 そしてリンゴとプラマー兄弟の戦いが始まる。

 ダラスは家の外で銃声を聞く。リンゴはダラスの元へ戻ってくる。そこへ保安官と医師が馬車でやってくる。リンゴは保安官に捕まるつもりだったが、彼らはリンゴとダラスを馬車に乗せて送り出す。保安官は医師にいっぱいおごると声をかける。

 

 

 有名な傑作西部劇で子供の頃からタイトルだけは知っていたが、これまで観る機会がなく今回が初見。

 いやぁこれは傑作と言われて当然の一本。駅馬車を舞台に御者、保安官を含め9名のドラマが丁寧に描かれる。最終目的まで3つの途中駅を含め進んでいくが、道中の駅馬車内のエピソードが人間関係や立場の違いを明確にしていくと同時に長い道中を飽きさせない。保安官とリンゴの関係、酔っ払い医師の活躍、銀行頭取の焦り、夫人の娼婦に対する態度、謎のギャンブラー、そしてリンゴとダラスの関係。

 ギャンブラー、ホットフィールドについては映画だけだとよくわからないが、wikiに詳細が述べられていて、なるほどと思った。ここだけ説明が丁寧でなく残念かも。

 ラストも良い。法律度外視のような結末だが、もともとリンゴの罪はプラマー兄弟の証言によるものと説明があったので、冤罪の可能性が高いのか。

 テーマ曲もこれが西部劇の代名詞のような曲で全く申し分ない。撮影もカメラに向かって馬が倒れたり、駅馬車がまたいだり、と、この時代のものとしては迫力満点の場面があり驚いた。のちの西部劇にも大きな影響を与えたことがうかがえる。

 一番驚いたのは、ジョン・ウェインのクレジットが2番目だったこと。ウェインはこの映画の前、10年近く映画に出ていることも。道理でウェインが若いはずだ。細くてカッコ良いもの。