●426 黄色いリボン 1949
カスターがアパッチとの戦いに敗れ戦死、第7騎兵隊の旗の周りには212名の兵士の遺体があった。アパッチは部族間の抗争を超え一致団結、1万人が騎兵隊との戦いのためシッティングブルの下に集結していた。
そんな中騎兵隊の給料を運んでいた馬車がアパッチに襲われる。
あと6日で退役となるネイサン大尉のいるスターク砦に馬車がやって来る。馬車を襲ったのはシャイアン族で、普段はもっと北にいる部族だった。
砦では少佐の姪ダンドリッジ嬢を巡って、コーヒル中尉とペネル少尉が恋の争いをしていた。
ネイサン大尉は死んだ妻の墓の前で明日からシャイアン族を北に追いやる最後の任務になるであろう仕事のことを報告していた。翌朝任務に向かおうとしたネイサンだったが、少佐の姪と奥さんが馬車で同行しようとしているのを見て驚く。少佐に掛け合うが、少佐は二人を駅馬車の中継所であるスードローまで送り届けるように命じる。アパッチが迫っており砦に女性を残すのは危険なためだった。それでもネイサンは女性を連れて行くことに反対するが、少佐は聞き入れなかった。
ダンドリッジ嬢は黄色いリボンをしていた。それを見たコーヒルとペネルは共に自分のためにしてくれていると思うが、ダンドリッジは答えをはぐらかす。隊は砦を出発、そばにいた従軍商人のリンダースも同じ頃旅立つ。
途中アパッチの移動を目撃した隊は迂回路を行くことに。その先で隊は先発隊がアパッチに追いかけられて来るのを迎え入れ、反撃しアパッチを追い返す。負傷兵を治療しつつ大破さらに先へ進む。
スードローに到着するが、既にスードローはアパッチに襲われており何人かの兵が犠牲になっていた。ダンドリッジは自分たちが一緒だったためにスードローへの到着が遅れたのが原因だと思い、ネイサンに謝罪する。しかしネイサンは「謝るということは、弱さを認めるということです」と話し、任務の失敗は指揮官である自分の責任だと答える。
死者の弔いをした隊の中で、コーヒルとペネルがまたもダンドリッジ嬢のことで揉める。それを見つけたネイサンは二人を叱責する。その後、従軍商人リンダースがそばにいることを聞いたネイサンはそれを偵察に。リンダースはアパッチに武器を売ろうとしていたが、値段のことでもめて殺されてしまう。ネイサンはそっとその場から立ち去る。
隊は砦に戻ることに。しかし途中、川渡りがあるため、ネイサンはアパッチ対策としてコーヒルを対岸に残し、女性たちを砦に送ることに。砦に戻ったネイサンは退役まで残り1日だったが、川へ戻りコーヒルたちを救おうとするが、少佐から部下の育成のためにも任せるべきだと話す。
そしてネイサン退役の日、彼は部下たちから記念の懐中時計をもらう。そして西部に向かって砦を出発する。その頃アパッチは続々と集結してきていた。ネイサンは川へ戻り、コーヒルにメモを残し単身アパッチの長老に会いに行く。長老に争いはやめるべきだと進言するが、長老は若い者はいうことを聞かないためもう遅いと答える。
ネイサンは部下の元へ戻り、アパッチたちの馬の休憩場所へ行く。退役まであと12分だと聞いたネイサンは、アパッチたちの馬を蹴散らし逃がすことに成功する。
そしてネイサンは西部へ向かうが、伝令が彼を追い、中佐となる任命書を渡す。ネイサンは砦に戻り皆に歓迎される。ダンドリッジ嬢にダンスに誘われるが、ネイサンは妻の墓前にまず報告に行くのだった。
「黄色いリボン」と言えば、山田洋次監督が「幸せの黄色いハンカチ」について述べている文章で何度も目にした記憶がある。いつか見たいと思っていたが今回が初見。
同じ監督、同じウェインの「駅馬車」を観たばかりなので、どうしても比較してしまうが、映画としてはやはりあちらが上だと感じてしまう。本作はちょっと話がバタバタしすぎている感じがする。『若い女性を巡って争う男性2人』と『退役まで6日の大尉』の2つのエピソードが入り乱れ、さらにコメディリリーフなのだろう、ウェインの従者?と思われる同じ歳の兵士のお笑いもあり、さらにアパッチと戦う騎兵隊そのものの厳しさもあり、映像としてはカラー作品初期の頃のためか自然の美しさ雄大さが目に入って来る。良い意味で言えば「見所満載」なのだが。上手くまとまってない、って感じか。
女性を巡り争い、結果的にピエロ的な役割を担うことになるペネル少尉が、ウェインに言われてそれまで口にしなかった「噛みタバコ」を嗜むのは、彼の成長を描いているようだが、これもなんだかエピソード過多に思えてしまう。
ジョン・ウェインの西部劇でありながら、拳銃やライフルの射撃シーンも少ないのは、人間ドラマを描こうとしたからなのだろうが、うーん。
ラスト、再任命されたウェインが砦に戻ってきて皆に迎えられるシーンで、女性たちが皆、黄色いリボンをしているのが印象的だったが、黄色いリボンは「前線で戦う兵士の無事帰還を願い、家の周囲などに黄色いリボンを飾る習慣」だそう。あのラストを観て、山田洋次監督は、「幸福の黄色いハンカチ」のラストを思いついたのだろうか。
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