逆説の日本史10 戦国覇王編 井沢元彦

●逆説の日本史10 戦国覇王編/天下布武と信長の謎 井沢元彦

 以下の4章

第1章 織田信長の変革編-「政権の三要素」を巡る将軍義昭との抗争
第2章 信長vs宗教勢力の大血戦編-安土宗論に見る「宗教弾圧」の正当性
第3章 新しき権力の構築編-信長の「大坂遷都」計画と安土城の謎
第4章 本能寺の変-神への道の挫折編-明智光秀「信長暗殺」の真相

 有名なシリーズで昔から知っていたが、歴史に弱かったので読んだことはなかった。信長のことを集中的に読んでいるので、この機会にと思い読んでみたが、とても面白かった。

 特に興味深かったのは第2章の宗教に関する部分。信長が残虐だと言われてきたがそれを否定するため、当時の宗教の残虐性をきっちりと説明している。それだけでなく、信長の宗教対策が後の、つまり現在の日本人にまで影響していると説明しているくだりは圧巻。見事に納得させられた(笑 特に歴史本ではあまり触れられない各宗教宗派に関する知識についても丁寧に説明されており、わかりやすかった。

 第3章での、まさに「信長の野望」(笑 も圧巻。安土城に対する信長の思いが推察されるがその大いなる野望に驚かされる。最近読んだ関連本でも同じような指摘がされていたが、この本が書かれたのは約20年前であるのが注目の点。ここ最近読んだ信長の本の源流がここから始まっているかのような錯覚も覚えた。

 第4章は一番期待して読んだが、ここはさすがにここ最近の研究が進んだ本には及ばないか。それでも四国問題に触れているのはさすがと言ったところか。

 

 全体的に少々強引な展開も目立つが、それでも膨大な資料などをもとに説明しているため、わかりやすく勉強になった。他のシリーズも読んでみたいが、まずはその他の時代の勉強からだな。