3時10分、決断のとき

●436 3時10分、決断のとき 2007

 ダンは夜中に目覚める。馬小屋が火事になっていた。ダンが借金をしているホランダーの手下の仕業だった。息子ウィリアムは馬小屋から荷物を取り出そうとして父ダンに止められるが、ウィリアムはひどいことをされても何もできない父を軽蔑する。ダンは牧場の経営に行き詰まっており、さらに息子マークの治療のために借金をしていた。

 その頃、強盗団ベン一味は駅馬車を狙っていた。ピンカートンの探偵やガトリング銃が備わった駅馬車だったが、一味はダンの家から逃げた牛たちを使い、見事に駅馬車を制圧、乗っていた賞金稼ぎのマッケルロイを撃つが、殺しはしなかった。また駅馬車内に生き残っていた男が強盗の一人を人質にして対抗しようとするが、ベンは仲間共々その男を撃ち殺す非情さを見せる。

 ダンは息子たちとともにベン一味の強盗を見ており逃げようとするが、見つかってしまう。ダンはベンに牛は自分のものだから返して欲しいと頼み、ベンは了解する。一味が去った後、ダンは生き残ったマッケルロイを助ける。

 一味は街へ行き、目撃者を装い強盗があったと保安官に報告、保安官たちが現場へ向かうと酒場で一杯飲みながら奪った金を分け合い、去って行く。ベンは一人酒場の女の元に居座る。

 ダンはマッケルロイを連れて街へ行き、彼を治療する。そしてホランダーに馬小屋の件を抗議し、返済を待ってもらうように頼むが、彼は受け付けなかった。怒ったダンはホランダーを探すが、その際酒場でベンと再会する。しかしベンは保安官に逮捕されてしまう。鉄道会社のバターフィールドはベンをコンテンションの駅からユマ行きの列車に乗せることにし、護送のための仲間を募る。ダンの馬小屋に火をつけたタッカーやマッケルロイも参加、ダンも200ドルの報酬に引かれ参加する。

 駅への護送の途中で一行はダンの家へ立ち寄り、ベンを身代わりの人間と入れ替える作戦をとり、ベンの手下たちの目をごまかす。ダンの息子ウィリアムは一緒に行きたがるが、ダンは止める。そして夜中に出発。しかしウィリアムは密かに一行の後を追うことに。野営をしている時に、寝ずの番をしていたタッカーはベンに嫌がらせをしてベンに殴り殺される。

 ベンの手下チャーリーは一味とともにベンを護送している馬車を襲うが、そこにいたのは身代わりの人間だった。チャーリーは男を脅し、ベンの行き先を聞き出す。

 それを遠くから見ていた一行は、ルートを変え近道を行くことに。しかしそこはアパッチが住む場所だった。途中、馬上でマッケルロイはベンと話し、ベンの親をバカにする。それに怒ったベンはマッケルロイに襲い掛かり銃を奪い、マッケルロイを殺す。ベンは一行を銃で脅すが、密かにあとをつけてきたウィリアムがベンを捕まえる。

 野営をしている時にベンは小便に立つ。ダンが一緒に行くが、突然ベンは姿を消す。一行がアパッチに狙われていたためだった。ダンはアパッチの銃弾で怪我を負う。ベンも一緒に立ち向かい、一人でアパッチを皆殺しにするが、そのまま逃亡してしまう。

 ベンは中国人たちが働く鉱山に差し掛かる。そこで働く男たちに捕まってしまう。一人は昔弟をベンに殺されており、ベンのことを覚えていた。ダンたちは男にベンを返すように頼むが、聞き入れられなかった。そこで一行は暴力でベンを取り戻し鉱山から逃げ出す。男たちが追ってくるが、ダンとベンのコンビ技で通路を爆破し追っ手から逃れる。その際、医者が撃たれて死んでしまう。

 一行は鉄道会社のバターフィールドとダン親子とベンだけになったが、コンテンションの街へ到着、ホテルに部屋を取る。部屋でダンはベンから買収の話を持ちかけられるが断る。バターフィールドが街の保安官を連れてきて一緒に護送することに。

 街にベンの手下チャーリーたちが現れる。7人しかいないため安心した一行だったが、チャーリーは住民たちに、ベンを捕まえている男たちを殺せば200ドルを払うと宣言する。すると街の男たちは銃をとり、ホテルを囲み始める。それを見た保安官たちは降りると言い出し、ホテルから出て行く。しかし彼らは住民たちに撃たれてしまう。

 3時10分が迫り、バターフィールドも降りると言い始める。ダンはウィリアムにバターフィールドと一緒に別の部屋に隠れるように指示、バターフィールドには報酬と家のことを頼む。

 時間になり二人はホテルを出て駅へ向かう。多くの人間に狙われるがなんとか回避しながら進む。住民たちの仕事に苛立ったチャーリーは住民を射殺、自らベンの元へ。ベンは途中ダンにもう帰るように言うが、ダンは足の怪我の真実をベンに告白、ベンは一緒に駅へ向かう。ダンは撃たれながらも駅舎内へ入る。チャーリーたちが駅舎を取りか揉む中、遅れていた列車が到着する。ホテルから抜け出ていたウィリアムは駅そばにいた牛たちを放し、チャーリーたちを妨害する。ベンは自ら列車に乗り込みダンに話しかけるが、その時チャーリーがダンを撃ち殺す。それを見たベンは自分の銃を受け取り、仲間たち全員を射殺する。ウィリアムが駆け寄りベンに銃を突きつけるが、撃ちはせずダンの元へ。ベンは自ら列車に乗り込み、列車は出発する。

 

 いやぁこれは傑作でしょ。リメイク作品らしくオリジナルは観ていないけど、これはリメイクに成功しているんじゃないの。

 何も知らずに観始めたので、ダンの家の借金の話とベン一味の強盗の話が並行して描かれるのかと思ったら、意外に早く二つが結びついて驚いた。というか、ベン、悪い奴なのにあっさり捕まり過ぎでしょ(笑 でも最後の方で明かされる、ベンは2回脱獄しているっていうのも関係しているのか。

 細かい伏線がいっぱいあるけど、それを全部回収していくのが見事だなぁ。冒頭の火事のシーンでいけ好かない息子に描かれていたけど、ラストで頼れる息子になっていたし。ダンの足の怪我が何の意味を持っているのかと思っていたけど、それも回収したし。

 何よりダンとベンの不思議な友情がしっかりと描かれていて良かった。途中ちょっとしつこいと思った時もあったけど、これだけ丁寧に二人の関係性を描いておいたから、ラストが活きてくる。で、ラッセルクロウが渋過ぎ。顔の表情だけで様々な感情を観せてくれた。観終わってピーターフォンダが出ていたことにも驚いた。でも彼はイージーライダー以外はあまりヒット作に出演していないのね。