●刑事スタスキー&ハッチ 第1シリーズ #10 俺が愛した女を殺したヤツ
あらすじ
女性の死体が発見されるが、被害者はスタスキーの元恋人ヘレンだった。彼女は警官だったが今はダンサーをしていた。さらに死体にはアンテナ線がぐるぐる巻きに巻いてあるという異常な状態だった。スタハチは異常者を手がかりに捜査を始めるが、ヘレンが潜入捜査をしていた事実が判明する。
ストーリー
ハッチの車が故障、ヒョロ松の店でハッチは修理を依頼するために会員登録していたカークラブに電話するが、会員名簿に名前がないと断られてしまう。ハッチはヒョロ松の知り合いのこませのピートに修理を頼むことに。ハッチは店から出て車で待っていたスタスキーに愚痴る。そこへ本部から死体が発見されたと連絡が入る。
スタハチは現場へ。そこにいた警官は鑑識も搬送車も呼んでいなかった。スタスキーが連絡をしている間にハッチは警官から、犯人は異常だ、死体をアンテナ線でぐるぐる巻きにしてある、と告げられる。ハッチは死体を確認、それはスタスキーの元恋人ヘレンだった。
警察へ戻った二人。ヘレンは警察官で着任後スタスキーと付き合っていたが5ヶ月前に別れていた。ドビー主任から彼女は3ヶ月前に警察を辞めてメローイエローのダンサーになっていた。主任はスタスキーが処分を受けるようなことにならないよう、二人を本件から外れてもらうと話すが、スタスキーは冷静に反論し、捜査を続行することに。
スタハチはメローイエローへ。ヘレンのルームメイトだったシンディから最近のヘレンについて話を聞く。ヘレンは最近店主のルビー・ソレンコと出かけていたと聞き出す。ハッチはシンディに連絡先を渡す。
二人は最初の捜査としてサンレオーネ犯罪者治療所のポリーに会いに行く。彼は精神障害者だったが、他の障害者について詳しいためだ。スタハチはポリーに死体をアンテナ線で巻くようなヤツに心当たりがないか尋ねる。ポリーは2、3ヶ月間に退院したジム ・マーチ・ライトウッドの名前をあげ、ジムは電波に敏感だったと話す。
スタハチは車工場で働くジムに会いに行く。ジムは病院を出てから毎日薬も飲んでいるし、アルコールやヤクもやってないと話す。しかしスタスキーはジムの足元にアルミホイルが巻かれているのに気づく。スタスキーがそれについて尋ねると、ジムは宇宙電波から守っていると答える。その時連絡が入り、ヘレンは警察を辞めておらず、極秘任務でダンサーになっていたことが判明する。
警察に戻ったスタハチはドビー主任からヘレンが宝石専門の強盗団を調べるためにメローイエローヘ潜入捜査のために入っていたと聞く。店が強盗団のアジトだということしかわかっていなかった。ヘレンは殺される2日前に強盗団の尻尾を掴んだが、感づかれそうになったため上司が任務を放棄するように言ったが彼女は戻らなかった。
スタハチはヒョロ松の店へ行き、今後の捜査について検討する。優秀なヘレンが2ヶ月かかった相手のため、正面から行ってもダメだろうと話すと、ヒョロ松が同業者から攻めてみてはとアドバイスする。「五番街」の名前が出るが、ヒョロ松は五番街は引退したと話す。ハッチは五番街にはウォーリーと言う弟がいたはずだと思い出す。
スタハチはウォーリーが経営する中古車販売の店へ。二人が客のふりを装っていると、ウォーリーは高級車の試乗を勧めてくる。3人は車に乗り、五番街のことを聞き出そうとするが、ウォーリーがとぼけるため乱暴な運転をして彼を脅し、五番街との連絡を取れることに。
空いているグラウンドで待ち合わせをして、スタハチは五番街に接触する。彼は宝石強盗団がメローイエローのオーナーソレンコ、リトリン、三下のトーイであり、トーイは変態であること、協力するのはソレンコたちは盗人の評判を落とすヤツらだからだと話す。さらに詳しいことを調べてみると話し、五番街は去って行く。
その頃メローイエローでは店主ソレンコがリトリン、トーイと次の狙いの屋敷での強盗について話をしていた。それを舞台から降りて楽屋にいたシンディが盗み聞きをし、スタハチに連絡しようとするが、それを見つかってしまう。ソレンコはトーイにシンディが二度と馬鹿なことができないようにしてやれと命じる。
スタハチは病院に担ぎ込まれたシンディに会いに行くが、彼女はヤクで壊されて降り、何を聞いても答えられる状態ではなかった。医者もいつ治るかはわからないと言う。
病院を出たスタハチに五番街が連絡を欲しがっていると連絡が入る。連絡をすると、ソレンコたちが明日ビバリーヒルズで強盗をするということだったが、狙い先の住所は不明とのこと。ハッチは保険屋で保険に入っている高価な宝石の持ち主を見つけて全て張り込もうと提案する。
翌日他の警官とともに張り込みをする。屋敷に入り込んでいた女性警官から怪しい花屋の車が屋敷に入ってきたと連絡を受け、スタハチは急行する。ソレンコたちは屋敷に押し入るが、屋敷内にも警官が配備されていた。スタハチはソレンコたちが屋敷から逃げようとするところを捕まえる。スタスキーはソレンコにヘレン殺害容疑もあると話すが、ソレンコはヘレンが刑事であることも知らなかった。
警察に戻ったスタハチ。スタスキーは駐車場に殺されたヘレンの車が止まっているのを見つける。ハッチが道端に駐車してあったらしいと話すとスタスキーは車に乗り込む。ハッチもその後に乗り込みラジオがどの局を選んでも同じ曲が流れていることに気づく。
スタハチはドビー主任にヘレン殺しはソレンコの仕業ではなさそうだと話す。主任は驚き、それなら誰が、と話すが、その時電話が入り、新たにダンサーの惨殺死体が見つかったと知らされる。ハッチは現場の警官に被害者の車のカーラジオで全局を聞いて欲しいと頼む。すると今回の被害者の車もどの局を選んでも97MHzの放送局の放送が入るようになっていた。スタスキーは97MHzの放送局の場所を調べてもらい、ハッチはジムを指定手配するよう依頼する。
スタハチは97MHzの放送局の場所へ忍び込む。そこはアルミホイルが壁中に貼られた異常な部屋だった。その頃ジムは新たなダンサーが仕事を終え店から出てくるのを待ち伏せしていた。ジムはダンサーが車に乗り込もうとしたところを拉致し、自分の車で連れ去る。
その頃スタハチはサンレオーネ犯罪者治療所で医者からジムの治療時のビデオを見せてもらっていた。ジムは惑星アルファからくる電波のため犯罪を犯さなければならないと話していた。ハッチは医者からジムの居場所のヒントを掴もうとしていたが、ビデオが退院直前に撮影されたものだと知り、なぜ退院させたのかと聞く。すると医者はテストで正常値の点数を取ったためだと答える。それを聞いたスタスキーは激怒、医者は意見は弁護士を通してと話すと、ハッチも医者の姿勢を非難する。
口論の中で、ハッチはジムがどこから電波を受けていると思っているのかと気づく。すると医者がKLOW局のラジオの電波塔からだと答える。
スタハチは電波塔へ。そこにはダンサーを連れたジムがいた。スタハチは彼を説得しようとするが、ジムは電波塔へ登り逃げる。スタハチも追うが、ジムは塔から落ちて死んでしまう。
ハッチの家。ハッチは夕日の美しさをヘレンにたとえて語る。そして料理を作りご馳走するが、それはスタスキーの好物で、ハッチがスタスキーの母親に聞いて作ったものだった。
今回の登場人物
犯行現場にいた警官 どこにも連絡していなかったが、それには理由が…
メローイエローの用心棒 この後スタハチにボコボコにされる
メローイエローのダンサーで殺されたヘレンのルームメイト、シンディ
殺されたヘレン(写真のみ)
サンレオーネ犯罪者治療所の患者ポリー 異常者の情報をくれる
ポリーから聞いた容疑者ジム
ジムがズボンの下にアルミホイルを巻いているのをスタさんが発見する
引退した宝石泥棒「五番街」の弟ウォーリー
元宝石泥棒「五番街」
メローイエローのオーナー、ソレンコ
ソレンコの部下、リトリン(右)とトーイ(左)
ヤク漬けにされたシンディを診る医者
張り込みをしていた扮装している女性警官
最後にジムに襲われ拉致されるダンサー(左) その仕事仲間(右)
サンレオーネ犯罪者治療所の医者
今回の捜査
ヘレンの勤め先であり、強盗団のアジトであるメローイエロー
ジムが入院していたサンレオーネ犯罪者治療所
スタハチは「五番街」の弟ウォーリーを脅すため、乱暴な運転をする
「五番街」と会うために行ったスタジアム?
密告をするシンディとそれを発見したメローイエローの用心棒
花屋に扮装して屋敷に乗り込んできた強盗団とそれを逮捕するスタハチ
ジムが好むラジオ局(ジムの家)を訪れたスタハチ
拉致されるダンサーとそれを観て悲鳴をあげる仕事仲間
サンレオーネ犯罪者治療所でジムのビデオを観るスタハチ
ジムを退院させたサンレオーネ犯罪者治療所の医者に怒るスタハチ
ダンサーを拉致したジムと電波塔に登るジムを追うスタハチ
今回のドビー主任
スタさんの元恋人が殺された事件のため、捜査の上でスタさんの暴走を心配する主任はスタハチを捜査から外そうとする。しかしスタさんは大反論、ドビー主任は二人を捜査から外さないことを決める。
反論するスタさんとそれを聞くドビー主任
今回のハッチの怒り
冒頭、ハッチの車が故障、ハッチはカークラブに修理依頼の連絡をするが、番号がないと言われ激怒する。電話を終え車に戻ったハッチにスタさんが声を掛ける。
ス「何してたの?」
ハ「修理を頼んだんだよ。20分も待たせやがって、俺の番号が名簿にないとさ」
ス「はぁ」
ハ「お前考えたことないか?」
ス「何を」
ハ「来る日も来る日も『はいこちらゼブラ6、コード3号発生、418体制を取れ。6了解、ってな具合になんでも数字だ」
ス「おいおい待ちなよ、俺はこう見えてもゼブラ6はお気に召してるんだぜ。そいつを取り上げられたら不眠症にならぁ」
ハ「おいスタさん、これじゃ俺たちは名無しの権兵衛になって、番号にされちまうぜ。登録番号をコンピュータに打ち込まれて番号で整理されるんだ」
ス「それで仕事がはかどりゃいいじゃないの」
ハ「本気か」
ス「物は考えようさ。カッカしてねぇで流れに身を任すの。便利のいいものは利用するさ」
そこへ本部からの呼び出し音が鳴る
本部「ゼブラ6」
ス「ほら、いい感じ」
ハ「俺が出るよ」
ス「俺が出るよ」
ハッチが受話器を奪い取り「いいから」
ハ「はい、こんちわ、お嬢さん。俺たち人間に何か用かい?」
本部「ゼブラ6、応答願います」
ハ「ゼブラはシマウマだ。シマウマの6番さんに用なら動物園にかけな」
本部「あなた誰?」
ハ「刑事のスタスキーとハッチさんだ。番号は抜きだぜ。スタスキーとハッチに何の御用だい」
本部「187号発生、つまり死体が発見されたの。博物館のそばのリンカーン広場よ」
今回のハッチの怒り その2
終盤、病気が治っていないジムをテストの数値から正常と判断し退院させた医者にスタハチは激怒する。去り際にハッチが医者に向かって放った言葉
ハ「ひとつ教えといてやるよ。データってもんはな、判断の基準になるのは、責任感のあるまともな専門家が正しく使った場合の話なんだよ」
今回のスタハチのコンビ技
メローイエローを訪れた際に入り口で用心棒に門前払いを喰らう。スタハチが取った行動は…
1)まずスタさんが扉を叩きつけ
2)すかさずハッチが店に入り、用心棒に一発
3)さらに用心棒を捕まえ、扉に投げつけると、スタさんが扉を閉める
今回のスタハチのコンビ愛
メローイエローでシンディからヘレンの話を聞き、写真を見せられたスタさんは落ち込む。そんなスタさんにハッチが声をかける。
ハ「責任感じてるんだろ。別れなきゃ良かったって」
ス「ま、そんなとっかな」
ハ「しょうもないこと考えるな。ヘレンはそういう女じゃない。ハッキリ言うけど、お前のような男に女は命がけにならねぇ。どう贔屓目に見ても、お前はバレンチノじゃない」
ス「お袋だって、俺をバレンチノとは言わねぇ」
ハ「そうか」
ス「あぁ。マフィアのドンに近いと」
悲しいシーンだが、ハッチが慰めつつ笑いに変える。コンビ愛を象徴するシーン。
今回のスタハチのコンビ愛 その2
ラスト、ハッチはスタさんの母親からスタさんの好物を聞いてそれを料理しご馳走する。
驚きつつも喜ぶスタさんにハッチが一言、「野菜も食べろって」それを聞いて吹き出しそうになるスタさん。
今回のまとめ
冒頭、いきなりハッチがツイていない〜カークラブの登録がされておらず、自動車修理を頼めない。スタハチでは、ツイてないのは通常スタさんであることが多いので、おやっと思ったら、スタさんにとってもっと悲惨な事件が発生する。
スタさんの元恋人ヘレンは写真でしか登場しないが、スタさんが落ち込むシーンは何度も描かれ、その喪失感は大きいことがうかがえる。さらに、シンディがヤク漬けにされたのを見舞った後、スタハチが公園を歩きながら、スタさんがヘレンとのことを語るが、結婚まで考えていたと告白するシーンは珍しい。
事件としては、異常者の犯行を疑う→潜入捜査だったことが判明→強盗団を逮捕するが事件とは無関係だったとわかり→さらにダンサーがまた襲われ→やはり異常者の犯行だったとわかる、といった展開。刑事ものとしては面白かった。
スタさんにとってはツラい事件だったが、それでも犯人ジムを憎まず、ジム本人も完治前に退院させられた被害者だと言い、その判断をした医者に激怒するスタさんの態度はあまりにカッコ良かった。10話目にしてスタハチのコンビも熟成してきている感じがするし、この先も楽しみ。