フォート・ブロックの決斗

●437 フォート・ブロックの決斗 1958

 ラットはバトラーに牧童として雇われる。バトラーから荒馬を乗りこなせばその馬を譲ると言われ、見事に黒馬を乗りこなす。ラットは金を稼ぐためには牛追いもすると話す。ラットは牧童仲間のトムと仲良くなる。ラットは狼の毛皮で儲けたいとトムに相談するが、断られる。

 彼らはフォートブロックの街へ牛を届ける。酒場に行った彼らにイエフが声をかけ、金を賭けての馬の競争を持ちかける。ラットは皆に勧められるが断ろうとする。トムが勧めるので、狼狩りを一緒にしてくれるならばという条件で、愛馬で競争に挑む。相手はイエフが雇う先住民だった。先住民は汚い手を使いラットの邪魔をしゴール後に揉めることに。しかし街の実力者で銀行頭取のコンラッドがラットの勝利を認める。

 勝利したお祝いでラットとトムは酒場で女と出会う。ラットはキャリーと、トムはジェンと楽しむことに。ラットはキャリーを家に送るが何もせずに帰ってしまう。翌日バトラー達は家へ帰ることにするが、ラットはトムと街へ残る。夜、ラットは再びキャリーの家を訪れ一夜を共にする。

 冬になりラットはトムとともに狼狩りへ出かけるが、寒いことに我慢できなくなりトムは帰ってしまう。ラットは一人で狼狩りをするが、山中で先住民に襲われ愛馬を奪われそうになり反抗するが、撃たれてしまう。そこへトムが駆けつけ助けてくれる。ラットが怪我をしたため狼狩りは諦め街へ治療のために帰ることに。

 街へ戻り治療を受けたラットはキャリーの家で世話になる。ラットは怪我のため狼狩りもできず金を稼げないことで焦り始める。街の銀行へ行き、牧場を購入するためコンラッドに融資を求めるが、担保がなければと断られてしまう。キャリーの家に戻ったラットは落ち込む。それを見たキャリーは自分の2000ドルをラットに提供する。ラットはその金を元手にしてコンラッドから融資を受けることに成功する。ラットはトムと共同経営者となり、前の牧童仲間達も呼び寄せる。

 ラット達は干草を準備することで冬を乗り越え、周りの牧場主が苦労する中でも牧場の経営は順調だった。ラットはコンラッドに夕食に招待され街へ出かける。雑貨店でトムがキャリーがラットのためにケーキを焼くための小麦粉を買っているのに出くわす。しかしラットはコンラッドとの夕食を優先する。店を出たところでトムはラットに結婚の付添人を頼む。しかしラットはトムの相手がジェンだと知り、彼女は売春婦だと避難する。それを聞いたトムは怒りラットを殴り、共同経営者は解消だと言って去っていく。

 ラットは夕食の席で牧場経営を褒められ、コンラッドから教育委員会から議員への道を進めと言われる。その頃ケーキを作ってラット待っていたキャリーの元へイエフが現れ、ラットはコンラッドの姪ジョイス達と食事していると話し、キャリーにキスをしようと迫る。キャリーはナイフで抵抗するが、イエフはそのナイフを奪い取りケーキをダメにしてしまう。ラットはジョイスを家に送った後にキャリーの家へ。しかしキャリーに全てを見抜かれており罵倒される。ラットはキャリーの家を去る。

 ラットはジョイスと結婚、子供も生まれ、牧場の経営も順調だった。ラットは議員に立候補する。広場で演説をした夜、ラットの家にイエフら牧場主が訪ねてくる。最近発生している馬泥棒を捕まえに渓谷へ行くので同行して欲しいと頼まれる。暴力沙汰を嫌うラットは断ろうとするが、彼らが票を多く持っていること、犯人だとわかれば保安官に引き渡すと約束したことから、ラットも一緒に行くことに。

 渓谷の小屋にいたのはトムだった。彼は犯行を認める。するとイエフたちはトムをその場で縛り首にしようとする。ラットは反対するが殴り倒されてしまい、その隙にトムは縛り首にされてしまう。

 ラットが家に帰るとジョイスが手紙が扉の下に入れてあったと話す。その手紙はキャリーが助けを求めるものだった。ラットはジョイスにキャリーとの関係を話すが、ジョイスはラットとキャリーの仲を疑い、行くならば自分が家を出ると話す。それでもラットはキャリーに会いに行く。キャリーはイエフに殴られ顔を腫らしていた。それを見たラットはイエフに会いに酒場へ。酒場の前にコンラッドが待っており、キャリーのことは金で解決しろと話すが、ラットは聞く耳を持たず酒場へ入って行く。そして二人は乱闘に。店の外まで出て殴り合うが、イエフが馬の鞍にあったライフルを手にしラットを撃とうとした瞬間、キャリーが銃でイエフを撃ち殺す。

 ラットが家に帰るとジョイスが待っておりラットに謝罪する。ラットはキャリーの裁判で証言すると話しジョイスもそれを受け入れる。

 

 これまたちょっと不思議な西部劇。田舎から出てきた青年が牧童から始めて、議員になるまでのサクセスストーリー。と書くとありがちな成功モノといった感じになってしまうが、この映画は決して単純な展開ではない。

 酒場で知り合った売春婦に惚れられ、彼女から受けた資金で牧場を購入し徐々に成功して行くが、その過程で銀行家と懇意になり、その姪との結婚へと話は展開、彼に惚れ込んでいた売春婦はあっさりと捨てられるが、最後にその彼のピンチを救う。

 有り体に言えば、成功する(議員になる)ため悪事にも目を瞑る、という道が誤りであったことに気づき、正しい道へ進もうとする若者、といった感じか。

 濃い内容は詰まっている割に100分を切る尺であり、テンポよく話は展開して行く。すごい端折りかただと思ったが、監督のリチャード・フライシャーのことを調べてなんとなく納得。「ミクロの決死圏」や「ソイレント・グリーン」といった一風変わった映画の監督だったのね。